披露宴の中盤、新婦に続いて新郎が席を立つ「中座」。お色直しのための短い退室ですが、流れる曲とエスコート役の組み合わせによって、ゲストの記憶に残る場面にもなれば、あっさり通り過ぎる場面にもなります。「新郎の中座にはどんな曲がいいのか」「そもそも誰と歩けばいいのか」と、打ち合わせを前に迷っている方も多いのではないでしょうか。
先に結論をお伝えします。新郎の中座曲は「エスコート役との関係」と「ゲストの年齢層」の2つを軸に選べば、大きく外すことはありません。中座は入場や再入場よりも自由度が高く、ウエディングらしくない曲でも問題ないとされる場面です。迷ったら、幅広い世代が知っている曲を市販CDの原盤で用意し、会場の担当者に早めに伝えておけば安心です。
この記事では、中座の意味と所要時間の目安から、エスコート役の選び方、盛り上がり系・しっとり系の定番曲、邦楽・洋楽・映画音楽・K-POPのジャンル別の印象、そして見落としやすい著作権と音源の準備までを、打ち合わせの順番に沿って整理します。
・中座の意味と、衣装チェンジ別の所要時間の目安
・新郎のエスコート役の人気順と、相手ごとに似合う曲の方向性
・盛り上がり系・しっとり系・ジャンル別の定番曲と選び方
・当日の音源は市販CDが基本になる理由と、著作権の手続き
中座とは?新郎が披露宴の途中で席を立つ理由と流れ

中座は「高砂席を立って退室する演出」と覚えれば十分です
中座とは、新郎新婦が高砂席を立ち、披露宴の途中で退室する演出のことです。ゼクシィの解説でもこの定義が紹介されており、その際にゲストの中からエスコート役を指名し、一緒に会場を出る形が多く見られます。言葉は少し硬く聞こえますが、「お色直しなどのために、いったん会場を離れる時間」と理解しておけば打ち合わせで困ることはありません。
中座が行われる理由は、主に3つあります。1つ目はお色直しのため。2つ目は、ゲストがお手洗いに行ったり、ひと息ついたりできるリフレッシュタイムをつくるため。3つ目は、披露宴の進行にメリハリをつけるためです。新郎新婦にとっても、長時間座りっぱなしの高砂席から離れて、お手洗いや水分補給ができる貴重な時間になります。
一般的なタイミングは、披露宴の中盤、食事がひと段落した頃です。中座している間は、色当てクイズや抽選会、テーブル対抗ゲーム、ミニ謎解き企画など、ゲスト向けの演出を入れる会場もあります。ありがちなのは、中座を「ただの着替え時間」と考えて、退場の場面をあっさり流してしまうケースです。ゲストの視線が新郎に集まる数少ない場面なので、曲とエスコート役を決めておくだけで印象が変わります。
回数は通常1回ですが、複数回行うことも可能です。進め方は会場ごとに異なるため、最初の打ち合わせで「中座は何回か」「どのタイミングか」を担当者に確認しておくと、曲選びの前提がそろいます。

中座=新郎新婦が高砂席を立ち、披露宴の途中で退室する演出。
お色直し=披露宴の途中で衣装やヘアスタイル、小物を替えること。ヘアや小物だけの「プチお色直し」もある。
エスコート役=中座のときに新郎新婦と一緒に歩いて退場するゲスト。指名は必須ではない。
最近は「新婦が先、少し間をあけて新郎」が主流になっています
新郎新婦が別々に中座する場合、新婦が先に退場し、少し間をあけてから新郎が退場するスタイルが主流です。かつては2人そろって同時に中座するのが一般的でしたが、最近は別々に中座する披露宴が増えています。
新婦が先になる理由は、ヘアスタイル・メイク・衣装のチェンジに時間がかかるためです。新婦を早めに送り出し、支度の時間を確保する流れが定着しました。新郎は衣装やヘアのチェンジがない場合、さりげなく単独で中座することもありますし、状況によっては中座自体を行わないこともあります。
新郎の中座には、新郎ならではの動きがあります。結婚準備メディアの解説では、ゲストと握手をしたり、テーブルに挨拶して回ったりしながら退出する新郎も少なくないと紹介されています。つまり新郎の中座曲は、「扉まで歩く短い時間」だけでなく、「ゲストと触れ合いながら退場する時間」を包む曲として考えるのがポイントです。
よくある迷いは、新婦の中座曲の続きをそのまま流すかどうかです。別々に中座するなら、新郎用にもう1曲用意したほうが、場面の切り替わりがゲストに伝わりやすくなります。ただし、2人の間隔や曲の切り替え方は会場の進行によって異なるので、担当者と相談して決めるのが確実です。
衣装チェンジ別の所要時間を知ると、中座の組み立てが見えてきます
中座にかかる時間は、衣装の組み合わせで大きく変わります。目安は、洋装から洋装で約15~20分、洋装から和装で約20~30分、和装から和装では約30~40分以上です。ゼクシィの解説によると約8割が衣装チェンジをしますが、ヘアスタイルや小物だけを替えるプチお色直しでも問題ないとされています。
時間に差が出るのは、着付けやヘアセットの工程が異なるためです。和装は帯や小物の準備が多く、髪型も合わせて変える場合はさらに時間がかかります。この時間の長さは、新郎の中座のタイミングや、中座中のゲスト向け演出の量を決める材料になります。
ここで押さえておきたいのは、退場曲そのものが中座の時間全体を埋める必要はない、という点です。一般的には、新郎が扉を出るまでを退場曲で演出し、その後の時間は歓談BGMやゲスト向けの企画でつなぐ構成が多く見られます。所要時間の長い和装へのお色直しでは、中座中の企画を厚めにしておくと、ゲストが手持ち無沙汰になりにくくなります。
ただし、支度の時間は会場の設備やスタッフの体制によっても変わります。表の数字はあくまで目安として、実際の時間は担当者に確認してください。
| 項目 | 洋装から洋装 | 洋装から和装 | 和装から和装 |
|---|---|---|---|
| 所要時間の目安 | 約15~20分 | 約20~30分 | 約30~40分以上 |
| 中座中の過ごし方の例 | 歓談・色当てクイズ | 抽選会・テーブル対抗ゲーム | ミニ謎解き企画など長めの企画 |
| 曲まわりの注意点 | 新郎新婦の中座の間隔が短くなりやすい | 中座中BGMも含めて曲数を確認 | 中座中の企画と音楽の段取りを担当者と共有 |
出典:ゼクシィ「中座」の解説ほか結婚準備メディアの公開情報をもとに編集部で整理
新郎の中座は誰と歩く?エスコート役で曲の方向性が決まる
人気の1位はきょうだい、ひとりでの中座も選べます
新郎のエスコート役に正解はなく、「自分が大切に思っている人」「お世話になった人」を指名すれば問題ありません。結婚準備メディアの紹介では、人気の順に、1位きょうだい、2位友人、3位母親、4位祖父・祖母、5位父親と並んでいます。このほか、親族全般や相手方の家族、複数人でのグループ中座も選べます。
きょうだいが1位になっている理由は、親は花束贈呈や挙式など、ほかの演出ですでに登場していることが多いためです。友人は、感謝を伝えたり、ゲストに紹介したりする機会として選ばれています。母親は披露宴での出番が少ない傾向があるため、中座で指名されることがあります。父親は、挙式で登場する場面がなかった場合などに選ばれています。
そもそもエスコート役は必須ではありません。新郎の場合、誰かと一緒である必要はなく、ひとりで会場を出るケースもあります。人前に出るのが苦手な家族に無理にお願いするより、ひとりで挨拶しながら退場するほうが自然な場合もあるでしょう。候補が絞れないときは、くじ引きで決める方法もあり、それ自体がゲスト参加型の演出になります。
注意したいのは、当日の発表まで本人に知らせないサプライズ指名です。演出としては楽しい反面、足元が不安な祖父母や、目立つのが苦手な方には負担になることもあります。事前に声をかけておくか、家族にさりげなく相談しておくと安心です。
父親と歩くなら「男同士の絆」、母親なら感謝がにじむ曲を
親をエスコート役に選ぶなら、父親か母親かで曲の方向性を変えると、場面の意味がゲストに伝わりやすくなります。結婚準備メディアでは、新郎が父親と中座する場面を「男同士の絆を感じられるシーン」と表現しています。
父親との中座は、言葉数の少ない親子関係を、そのまま見せられる場面です。そのため、歌詞で多くを語る曲よりも、人生の節目を落ち着いた雰囲気で描く曲や、前向きなメッセージの曲がなじみます。一方で母親との中座は、しっとり系の曲が特に合う場面とされ、親子の関係や歩んできた時間を振り返らせる曲が選ばれています。
ありがちな失敗は、父親と歩くのに、母への思いを歌った曲をそのまま流してしまうケースです。曲のタイトルや歌詞の内容は、意外とゲストに伝わります。タイトルに「ママ」「母」が入る曲なら母親と、「家族」「道」を思わせる曲なら父親や両親そろって、というように、エスコート役と曲のテーマをそろえると、ゲストが場面を受け取りやすくなります。
両親への思いは、中座だけでなく、披露宴の結びの謝辞でも伝える機会があります。中座の曲で感謝を表す場合は、謝辞の内容と重なりすぎないように、どちらで何を伝えるかを先に決めておくのがおすすめです。

友人・複数人で中座するときの曲と進め方
友人やグループでの中座は、盛り上がり系の曲と相性がよい選択です。友人をエスコート役に選ぶ新郎は、感謝を伝えたり、友人をゲストに紹介したりする機会として中座を活用しています。複数人を指名することも可能です。
友人との中座が盛り上がりやすいのは、テンポのよい曲に合わせてハイタッチをしたり、肩を組んだりと、ゲストとのやりとりを入れやすいからです。学生時代の部活仲間や、同じチームで過ごした同僚など、関係性が一目でわかる相手だと、会場のほかのゲストも自然に拍手で送り出してくれます。
ただし、人数が多くなるほど退場に時間がかかり、曲のサビに届く前に扉を出てしまう、あるいは曲が終わっても退場が終わらない、というずれが起きがちです。友人同士で盛り上がりすぎて、親族席が置いてけぼりになる場面も見られます。複数人で中座する場合は、名前を呼ぶ順番や歩くルートを、担当者と事前に決めておきましょう。
相手方の家族をエスコート役に選ぶ方法もあります。新しい家族への気持ちを示す場面になりますが、両家の関係や考え方によって受け止め方が異なる場合があります。事前に新婦や両家に相談しておくのが確実です。
| 項目 | きょうだい・友人 | 母親・祖父母 | 父親・ひとり中座 |
|---|---|---|---|
| 選ばれる理由 | 親はほかの演出で登場済み/感謝や紹介の機会 | 披露宴での出番が少ない傾向 | 挙式で登場できなかった/さりげなく退場したい |
| 似合う曲の方向性 | テンポのよい盛り上がり系 | 感謝・家族愛を表すしっとり系 | 節目を描く落ち着いた曲・前向きな曲 |
| 注意点 | 人数が多いと退場時間がずれやすい | 歩くペースとルートに配慮する | 挨拶に回る場合は曲の長さを確認 |
中座 新郎 曲を決める前にそろえたい4つの判断基準

まず「盛り上がり」か「しっとり」かを先に決めましょう
曲名から探し始める前に、中座の場面を「盛り上がり系」にするか「しっとり系」にするかを先に決めると、候補が一気に絞れます。お色直しの選曲ポイントとしても、最初に挙げられているのが「盛り上がり重視か、しっとり重視かの雰囲気設定」です。
雰囲気を先に決める理由は、同じ人気曲でも、場面によって合う・合わないがはっきり分かれるからです。ウエディング音楽メディアの整理では、盛り上がり系は「楽しいことが好きな人柄」「体育会系の気質」「若いゲストが多い披露宴」に向いており、テンポがよく明るい曲で、ハイタッチなどを交えた賑やかな退場になります。しっとり系は「両親への感謝を表現したい」「派手な演出が苦手」「年配ゲストや親族が多い」場合に向いています。
読者のタイプ別にまとめると、次のような選び方になります。友人中心の少人数パーティーで、学生時代の仲間をエスコート役に呼ぶ新郎なら盛り上がり系。親族が多く、母親や祖父母と歩く予定の新郎ならしっとり系。人前で目立つのが苦手で、ひとりでさりげなく退場したい新郎なら、テンポが穏やかで歌詞が主張しすぎない曲、という考え方です。
決めきれない場合は、新婦の中座や再入場の雰囲気と並べて考えてみてください。披露宴全体で盛り上がる場面としっとりする場面が交互に来るように組むと、ゲストが飽きにくくなります。
ゲストの年齢層を見て「多くの人が知っている曲」を優先します
迷ったら、ゲストの多くが知っている曲を選ぶのが無難です。披露宴には幅広い世代のゲストが集まるため、ウエディング会場運営会社のコラムでも「多くの人が知っている楽曲を優先するのがポイント」とされています。
知っている曲が選ばれる理由は、イントロが流れた瞬間に「あの曲だ」とわかると、ゲストが場面に入り込みやすいからです。流行曲や定番ソングだけにこだわるより、会場のゲストが気持ちを重ねやすい曲を優先する、という考え方も紹介されています。新郎の人柄や思いにふさわしい曲であることも、同じくらい大切です。
このとき、あわせて見ておきたいのが新郎の衣装やスタイルです。お色直しの選曲ポイントには「衣装との調和」も挙げられています。タキシードで颯爽と退場するのか、和装で落ち着いて歩くのかによって、似合う曲の雰囲気は変わります。
ただ、「知っている曲」の範囲は、ゲストの年代によって異なります。親族席と友人席で世代が大きく離れている場合は、世代を超えて知られている洋楽の定番や、長く歌い継がれている邦楽を候補に入れておくと、どちらの席にも届きやすくなります。
よくある状況:新郎が学生時代から好きなバンドの、ファンでないと知らない曲を選んだところ、友人席は盛り上がったものの、親族席は何の曲かわからず拍手のタイミングを逃してしまった。
原因:「中座は自由度が高い」という情報だけを頼りに、ゲストの年齢層を確認しないまま決めてしまったこと。
対策:好きな曲を使うなら、エスコート役との関係が伝わる曲にするか、司会者に曲を選んだ理由をひと言紹介してもらうと、知らないゲストにも場面の意味が届きます。
曲の長さとサビのタイミングは担当者と一緒に合わせます
曲が決まったら、長さとサビの位置を担当者と一緒に確認し、どこから流してどこで扉を出るかをすり合わせておきましょう。選曲の技術面のポイントとして「曲の長さ」「サビのタイミング」「著作権の確認」の3点が挙げられています。
サビの位置が大切なのは、中座の見せ場とサビが重なると、場面の印象がぐっと強くなるからです。エスコート役の名前が呼ばれて立ち上がる瞬間や、扉の前で振り返って一礼する瞬間にサビが来るように、曲の途中から流す調整ができる会場もあります。
やりがちなのは、イントロの長い曲を頭から流して、盛り上がる前に扉を出てしまうケースです。反対に、テーブルを回って挨拶する予定なのに短めの曲を選び、途中で音楽が途切れてしまうこともあります。挨拶に回るかどうか、エスコート役は何人かといった退場の動きを先に決めてから、曲の使い方を相談すると、ずれが起きにくくなります。
調整の方法は会場や音響の担当者によって異なります。打ち合わせでは、曲名と一緒に「このフレーズで扉を出たい」と具体的に伝えると、希望が反映されやすくなります。
実は新郎の中座は「好み」を通しやすい場面です
意外と知られていませんが、披露宴の曲の中でも、新郎の中座は新郎の好みを反映しやすい場面です。新郎の中座は新婦がその場にいないため、新郎が好きな曲を選びやすい、と結婚準備メディアでも紹介されています。
その理由は、場面ごとに曲に求められる役割が違うからです。ゼクシィの選曲解説では、入場曲は「ハッピーなムードで空間を包む」心地よさ重視、再入場は「ふたりらしさを発揮する」インパクト重視とされる一方、中座は好きな曲や思い出の曲を選ぶのがおすすめで、ウエディングらしくない曲でもOKとされています。2人の世界観を見せる入場や再入場と違い、中座は新郎とエスコート役の関係にスポットが当たるため、個性を優先できるのです。
たとえば、兄と一緒に聴いていたロックバンドの曲、部活の試合前に流していた応援歌のような曲、父親の車でよく流れていた曲など、エスコート役との思い出につながる曲は、ウエディングの定番でなくても場面にぴったり合います。エスコート役へのメッセージを込めた曲選びが効果的、という考え方もあります。
ただし「自由」は「何でもよい」とは違います。歌詞に別れや失恋を連想させる言葉が多い曲は、気にするゲストもいるため、歌詞の内容は一度通して確認しておきましょう。
ハイタッチが似合う盛り上がり系の定番曲
世代を超えて盛り上がるならQueen『We Will Rock You』
親族から友人まで幅広い世代が集まる披露宴で盛り上げたいなら、洋楽ロックの定番であるQueen『We Will Rock You』が候補になります。世代を超えて愛されている洋楽で、盛り上がりの効果が高い曲として紹介されています。
この曲が中座に合う理由は、曲を知らない人でもリズムに乗りやすく、手拍子や足踏みでゲストが参加しやすい点にあります。友人たちとハイタッチしながら退場する、テーブルの間を歩きながらゲストと拳を合わせる、といった動きのある中座と相性がよい曲です。洋楽は非日本的で洗練された空気をつくり、イントロから場を盛り上げる曲が多いジャンルでもあります。
注意したいのは、ノリのよい曲ほど、会場のテンションが一気に上がる点です。直前がしっとりした手紙の朗読や、ゆったりした歓談の時間だと、雰囲気の切り替えが急に感じられることもあります。前後の進行を見て、司会者に「ここから盛り上がります」とひと言入れてもらうと、ゲストがついてきやすくなります。
体育会系の友人をエスコート役に指名する新郎や、スポーツが縁でつながった仲間が多い披露宴では、特にはまりやすい選曲です。会場の雰囲気や格式によって合う・合わないがあるので、担当者の意見も聞いてみてください。
邦楽ロックならMr.ChildrenやONE OK ROCKが候補に
日本語の曲で勢いをつけたいなら、Mr.ChildrenやONE OK ROCKといった邦楽ロックが候補に挙がります。新郎中座の曲を集めたランキングでは、ロック・オルタナティブのジャンルとして、この2組のアーティストが名前を連ねています。
Mr.Childrenはエネルギッシュでポジティブな楽曲が多く、盛り上げる効果が高いアーティストとして紹介されています。長く活動しているため、親世代から若い世代まで知っている人が多いのも、披露宴向きの理由です。ONE OK ROCKはエネルギッシュで現代的なサウンドが特徴で、若いゲストに受け入れられやすいとされています。
ちなみに、同じランキング内の曲の約70%はJ-POPです。洋楽やK-POPに比べて、日本語の歌詞がそのまま届く邦楽が、新郎の中座では多数派ということがわかります。とはいえ、ロックの中には歌詞やサウンドが激しい曲もあります。有名なアーティストだからと曲を確認せずに決めると、会場の雰囲気と合わない場合があります。
アーティストが決まっていても曲で迷ったら、エスコート役と一緒に聴いた思い出がある曲や、ライブに一緒に行った曲を選ぶのがおすすめです。司会者に選曲の理由を紹介してもらえば、曲を知らないゲストにも場面の意味が伝わります。
洋楽ポップス・K-POPならスタイリッシュに退場できます
明るさと洗練された雰囲気を両立したいなら、洋楽ポップスやK-POPが向いています。洋楽ポップスでは、アップテンポで楽しい雰囲気のMaroon 5『Sugar』や、Bruno Mars『Marry You』が挙げられています。K-POPでは、BTS『Dynamite』『Butter』、TWICE『YES or YES』が候補です。
Maroon 5『Sugar』は、スタイリッシュな演出がしやすい曲として紹介されています。K-POPはスタイリッシュで現代的なダンスミュージックが多く、華やかな演出に向いているジャンルです。BTSはグローバルで人気があり、若い世代に強くアピールできるとされています。
やりがちな失敗は、若い友人席を意識しすぎて、親族席にはまったく伝わらない選曲になることです。K-POPや最新の洋楽は、年配のゲストにとってなじみが薄い場合があります。友人が多い二次会寄りの披露宴なら問題になりにくいですが、親族中心の披露宴なら、世代を超えて知られている曲と比べて検討しましょう。
新婦がK-POP好きで、新郎の中座にも同じアーティストの曲を使いたい、というケースもあります。その場合は、再入場の曲と同じアーティストでそろえるなど、披露宴全体の流れの中で位置づけると、ゲストにも統一感が伝わります。
感謝が伝わるしっとり系の定番曲、エスコート役別に選ぶなら
使用実績で目立つのはSMAP『ありがとう』と絢香『にじいろ』
しっとり系で迷ったら、まず候補に入れたいのがSMAP『ありがとう』と絢香『にじいろ』です。結婚式の選曲を投稿・共有するサイトの新郎中座のランキングでは、SMAP『ありがとう』が11回の使用実績で最も多く、絢香『にじいろ』も10回のハート評価を集めています。
SMAP『ありがとう』が選ばれている理由は、感謝の思いを直接的に表現していることと、世代を超えて知られている定番曲であることです。タイトルそのものが中座で伝えたい気持ちになっているため、エスコート役が誰であっても場面の意味が伝わりやすい曲といえます。絢香『にじいろ』は希望を感じさせる美しいメロディで、しっとりしながらも前向きな雰囲気をつくれる曲として紹介されています。
ここで注意したいのが、同じ「ありがとう」というタイトルの別の曲です。お色直しの選曲例では、いきものがかり『ありがとう』も邦楽の人気曲として挙げられています。打ち合わせで「ありがとう」とだけ伝えると、別の曲が用意されてしまうおそれがあります。曲名は必ずアーティスト名とセットで伝えましょう。
定番曲は、ほかの披露宴で聴いたことのあるゲストがいる場合もあります。それでも「知っている曲」ならではの安心感がありますし、エスコート役を紹介する司会者のひと言を工夫すれば、あなたたちだけの場面になります。
母親と歩くならAI『ママへ』、かりゆし58『アンマー』、back number『手紙』
母親をエスコート役に選ぶなら、感謝や家族愛をテーマにした曲が合います。しっとり系の曲は、母親のエスコート時に特に合う選曲とされ、親子の関係や歩んできた人生を振り返らせる力があると紹介されています。
具体的な候補としては、AI『ママへ』『ハピネス』が挙げられます。温かみのあるボーカルで、感謝や幸福をテーマにした曲です。『ママへ』はタイトルからも母親への思いが伝わるので、エスコート役の母親だけでなく、会場のゲストにも場面の意味がすぐに届きます。かりゆし58『アンマー』は感謝をテーマに、沖縄らしさと温かみのある家族愛を表現した曲として紹介されています。back number『手紙』は、感謝や思いを届けることをテーマに、親子の絆を表現した曲です。
やりがちなのは、母親との中座に歌詞の重い曲を選んで、本人が涙で歩けなくなってしまうケースです。気持ちが伝わるのはよいことですが、慣れない会場で段差のある通路を歩くこともあります。曲を事前に母親に伝えておくか、会場スタッフに歩くペースへの配慮をお願いしておくと安心です。
祖母をエスコート役に選ぶ場合も、同じ考え方で曲を選べます。ただし、足元に不安がある場合は、歩く距離やルートを短くするなど、曲より先に動線を担当者と相談しましょう。
家族・友人への思いを込めるなら福山雅治やコブクロの定番を
両親そろって、あるいはきょうだいや友人と歩くしっとり系の中座には、家族や友情を描いた定番曲が向いています。福山雅治『家族になろうよ』『道標』、コブクロ『hana』、Superfly『愛をこめて花束を』、back number『花束』、FUNKY MONKEY BABYS『希望の唄』、ケツメイシ『友よ~この先もずっと…』などが挙げられています。
曲ごとに描いているテーマが違うので、エスコート役に合わせて選ぶと場面がくっきりします。『家族になろうよ』は新しい家族を築く思い、『道標』は人生の節目を落ち着いた雰囲気で表現しています。父親との「男同士の絆」を感じさせたいなら、『道標』のような落ち着いた曲がなじみます。友人と歩くなら、友情と感謝をテーマにした『友よ~この先もずっと…』や、前向きなメッセージの『希望の唄』が合います。
Superfly『愛をこめて花束を』は感謝を表す定番曲として、落ち着いた格調の高さがあるとされています。コブクロ『hana』は、2人の息の合ったハーモニーで大切な思いを表現した曲です。
ただし、しっとり系ばかりが続くと、披露宴全体が静かな印象になりがちです。新婦の中座や花束贈呈にもしっとり系の曲を使う予定なら、新郎の中座は明るめの曲にする、というように、前後の曲との並びも見て決めましょう。
| 曲(アーティスト) | 表現しているテーマ | 雰囲気 | 合いやすいエスコート役 |
|---|---|---|---|
| 『ありがとう』(SMAP) | 感謝をまっすぐ表現 | 世代を超えて知られる定番 | 誰とでも合わせやすい |
| 『ママへ』(AI) | 感謝・幸福 | 温かみのあるボーカル | 母親 |
| 『道標』(福山雅治) | 人生の節目 | 落ち着いた雰囲気 | 父親・両親 |
| 『家族になろうよ』(福山雅治) | 新しい家族を築く思い | 温かみと深さ | 両親・相手方の家族 |
| 『友よ~この先もずっと…』(ケツメイシ) | 友情・感謝 | 長く愛される定番 | 友人・きょうだい |
邦楽・洋楽・映画音楽・K-POPで、中座の印象はどう変わる?
邦楽は日本語の歌詞で、気持ちがまっすぐ届きます
エスコート役への気持ちを言葉として伝えたいなら、邦楽を選ぶのが確実です。ウエディング会場運営会社のコラムでは、邦楽は「日本語の歌詞は気持ちが直接伝わりやすい」とされ、感謝の思いが込もった曲が人気だと紹介されています。
邦楽が選ばれやすい理由は、歌詞を聞き取れるゲストが多く、曲そのものが新郎の代わりにメッセージを伝えてくれるからです。新郎は中座のとき、マイクを通して話す機会がないことが多いため、歌詞が「言えなかったひと言」の役割を果たしてくれます。
お色直しの選曲例として挙げられている邦楽には、いきものがかり『ありがとう』、Mrs. GREEN APPLE『ライラック』、絢香『にじいろ』、Official髭男dism『I LOVE…』、AI『ハピネス』などがあります。新しめの曲から長く歌われている曲まで幅があるので、ゲストの年齢層に合わせて選べます。
一方で、歌詞が伝わりやすいぶん、内容がそのまま受け取られるという面もあります。サビだけ聞くと前向きでも、曲全体では別れを描いている曲もあるため、歌詞は最初から最後まで一度確認しておきましょう。
洋楽はイントロから会場の空気を切り替えられます
会場の雰囲気をがらりと変えたいなら、洋楽が向いています。洋楽は非日本的で洗練された空気をつくり、イントロから盛り上げる曲が多いジャンルとされています。
洋楽を選ぶ利点は、歌詞の意味が細かく伝わりにくいぶん、メロディとリズムで場面をつくれることです。和やかな歓談の空気から、一気に「新郎の見せ場」へ切り替えたいときに使いやすいジャンルです。お色直しの選曲例では、Bruno Mars『Marry You』、Ed Sheeran『Perfect』などが挙げられています。先に紹介したQueen『We Will Rock You』のように、世代を超えて知られている曲もあります。
やりがちなのは、タイトルや雰囲気だけで選び、歌詞の意味を確認しないケースです。英語の歌詞がわかるゲストもいますし、海外からのゲストがいる披露宴ではなおさらです。訳詞を一度確認し、結婚式の場面にふさわしい内容かを見ておくと安心です。
洋楽の中座曲は、スタイリッシュな洋装やタキシードとの相性がよい選択です。和装でのお色直しに洋楽を合わせる場合は、ギャップを楽しむ演出として司会者に紹介してもらうなど、ひと工夫を加えるとゲストに意図が伝わります。
映画音楽は物語の世界観を借りられます
ロマンチックな雰囲気や、ひとつの物語のような場面をつくりたいなら、映画音楽が候補になります。映画音楽は物語性が強く、ロマンチックな世界観を演出できるジャンルとして紹介されています。
映画音楽が中座に向いている理由は、ゲストが映画のワンシーンを思い浮かべることで、説明しなくても場面の雰囲気が伝わるからです。お色直しの選曲例では、『美女と野獣』より『Beauty and the Beast』、『シンデレラ』より『夢はひそかに』、RADWIMPS『愛にできることはまだあるかい』などが挙げられています。
ただし、ディズニー映画のようにプリンセスのイメージが強い曲は、新婦のお色直しの場面で使われることが多い傾向があります。新郎の中座で使うなら、新婦の中座曲とセットで物語の続きを見せる、あるいはエスコート役と一緒に観た思い出の映画の曲を選ぶ、といった理由があると場面になじみます。
映画のサウンドトラックは、歌のない曲も多く、中座中のBGMとしても使いやすいのが特徴です。退場曲と中座中のBGMを同じ映画の曲でそろえると、ゲストが待つ時間まで世界観がつながります。
K-POPはダンスミュージックで華やかさを出せます
若いゲストが多く、華やかでポップな場面にしたいなら、K-POPが合います。K-POPはスタイリッシュで現代的、ダンスミュージックで華やかに演出できるジャンルとされています。BTS『Dynamite』『Butter』、TWICE『YES or YES』が代表的な候補です。
K-POPが選ばれる理由は、リズムが明快で、友人がエスコート役なら一緒に踊りながら退場するような演出も取り入れやすいからです。新婦がK-POP好きで、2人の共通の趣味として披露宴に取り入れたいという場合にも使えます。
やりがちなのは、友人席は大いに盛り上がる一方で、親族席が置いてけぼりになってしまうケースです。年配のゲストにはなじみが薄いジャンルでもあるので、親族が多い披露宴では、世代を超えて知られている曲と比べて検討しましょう。司会者に「新郎が学生時代から好きなグループの曲です」と紹介してもらうだけでも、知らないゲストが場面に入りやすくなります。
ダンスを交える場合は、会場の通路の広さや、ほかのゲストへの配慮も必要です。どこまで動けるかは会場によって異なるため、担当者に相談しておきましょう。
邦楽=歌詞で気持ちを伝えたいとき。洋楽=イントロから空気を切り替えたいとき。映画音楽=物語のような世界観をつくりたいとき。K-POP=若いゲスト中心で華やかにしたいとき。迷ったら、エスコート役との思い出につながるジャンルを選び、親族席にも伝わるよう司会者のひと言を添えると、どのジャンルでも場面の意味が届きます。
中座 新郎 曲で見落としやすい著作権と音源の準備
当日BGMとして流すだけなら、式場の手続きで済むことが多いです
市販CDの曲を披露宴で流すだけなら、新郎新婦が自分で著作権の手続きをする必要はないことが多いです。結婚準備メディアの著作権解説によると、結婚式場が日本音楽著作権協会(JASRAC)と契約していれば、式場が手続きをしてくれるため、新郎新婦の対応は不要になることが多いとされています。
手続きが必要になるのは、結婚式での音楽の使用に、主に2つの権利が関わるからです。1つは「演奏権」で、CDなどで曲を流す場合にも必要な権利です。もう1つは「複製権」で、曲をコピーする際に必要になります。当日BGMとして市販CDを流すのは演奏権の範囲なので、多くの式場が結んでいる包括契約でカバーされる、という仕組みです。
ただし、式場が手続きをしてくれる場合でも、どの曲を使うのかを事前にプランナーや式場に伝えておくことが大前提です。使いたい曲がJASRACの管理楽曲かどうかは、JASRACの作品データベース「J-WID」で検索できます。
契約の内容は式場によって異なります。持ち込みの曲がある場合や、式場以外の会場でパーティーを行う場合は、演奏権の手続きがどうなっているかを必ず確認してください。
演奏権=CDなどで曲を流すのにも必要な権利。作曲家・作詞家が持つ。当日BGMとして市販CDを流す場合に関わる。
複製権=曲をコピーする際に必要な権利。著作権者とレコード会社の両方の許可が必要。ムービーへの組み込みやCD-R制作で関わる。
JASRAC=日本音楽著作権協会。演奏権を管理し、多くの式場が包括契約を結んでいる。
ISUM=映像化や複製に関わる権利の手続きを扱う組織。
使える音源は市販CDの原盤、ダウンロードやサブスクは避けましょう
中座の曲を用意するときは、市販CDのディスク(原盤)を用意するのが基本です。結婚準備メディアの解説では、楽曲を流すときに使えるのはCDのディスク(原盤)のみとされています。
ダウンロード音源が使えない理由は、利用規約にあります。iTunes Storeなどからダウンロードした音源は、利用規約で「個人的・非商用目的」に限定されており、結婚式での使用は現実的ではないとされています。サブスク系のストリーミング音源も、利用規約上、結婚式での使用はできません。普段スマートフォンで聴いている曲をそのまま流せるわけではない、という点は見落とされがちです。
CDを用意するときは、エスコート役と一緒に聴いた思い出のアルバムがあれば、それを持ち込むのもよい方法です。一方、CD化されていない曲や、配信限定の曲を中座で使いたい場合は、会場で扱えるかどうかを早めに相談する必要があります。
CDの持ち込み方法や締め切りは会場によって異なります。曲が決まったら、「いつまでに、どの形で渡せばよいか」を担当者に確認しておきましょう。
よくある状況:中座の曲を配信サービスで聴いて決め、当日もスマートフォンから流せるものと考えていた。最終打ち合わせで「CDの原盤が必要」と言われ、配信限定の曲だったためCDが見つからず、曲を変更することになった。
原因:ダウンロード音源やサブスク音源は利用規約上、結婚式での使用ができないことを知らなかったこと。
対策:候補曲を挙げた段階で「市販CDが出ているか」を確認し、CDがない曲は第2候補を用意しておきます。曲名はアーティスト名と収録CDをセットで担当者に伝えましょう。
ムービーやCD-Rに曲を入れるときは、複製権の申請が必要です
中座の演出にムービーを組み合わせたり、当日用の演出CDを作ったりする場合は、当日BGMとは別に複製権の申請が必要になります。プロフィールビデオや余興ビデオ、エンドロールに曲を入れる場合はISUM申請(複製権)が必要で、対応はムービー制作会社または式場が行うのが一般的です。
当日用の演出CD(CD-R)を制作する場合もISUM申請が必要で、式場が対応します。当日の撮影映像をDVDにまとめる場合は、撮影業者が対応します。いずれの場合も、新郎新婦は事前にプランナーや業者に対応を確認しておくことが大切です。自作ムービーの場合は、複製権の申請をどう対応するかを必ず確認しましょう。
見落としやすいのが準備期間です。ISUMにまだ登録されていない曲を使いたい場合は、1ヶ月以上前にリクエストが必要とされています。使用料の例として、動画コンテンツは1曲2,000円程度(製作3個まで)、演出用CDは1曲400円程度(製作3個まで)とする解説もありますが、条件によって変わる場合があるため、実際の金額は式場や制作会社に確認してください。
中座前後にオープニングムービーや生い立ちムービーを流す予定があるなら、ムービーの曲と中座の曲が重ならないように、選曲の段階で一覧にしておくと整理しやすくなります。

手続きを怠ったときのリスクと、プランナーへの伝え方
著作権の手続きは「知らなかった」では済まされないため、曲を決めたらすぐにプランナーに伝え、手続きの担当を確認しておくのが確実です。無断で楽曲を利用すると著作権侵害になり、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金のリスクがあると解説されています。
リスクがこれほど大きいのは、音楽の著作権が、作曲家・作詞家やレコード会社といった権利者の財産として法律で守られているからです。結婚式という私的なお祝いの場であっても、会場で多くの人に向けて曲を流したり、映像に曲をコピーしたりすることは、権利者の許可が必要な行為にあたります。
とはいえ、過度に心配する必要はありません。多くの式場は包括契約を結び、手続きの流れも整えています。新郎新婦がすべきことは、使いたい曲を早めに正確に伝えることです。伝える内容は「曲名」「アーティスト名」「使う場面(新郎の中座など)」「音源の形式(市販CDなど)」「ムービーやCD-Rに入れるかどうか」の5つを押さえておけば十分です。
手続きの担当や締め切りは、式場や制作会社によって異なります。曲の差し替えにも期限があるため、中座の曲は余裕を持って決めておきましょう。
まとめ
新郎の中座は、新婦がいない場面だからこそ、新郎とエスコート役の関係がまっすぐ伝わる時間です。まずは「誰と歩きたいか」を決め、その人との思い出につながる曲を2〜3曲書き出してみてください。候補がそろったら、ゲストの年齢層と市販CDの有無で絞り込み、次の打ち合わせで担当者に曲名とアーティスト名をセットで伝えれば、準備は順調に進みます。
※楽曲の利用条件や著作権の手続きは式場や時期によって異なるため、最新情報は各公式サイトや会場の担当者にご確認ください。

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