甥から結婚式の招待状が届いたとき、まず頭に浮かぶのは「いくら包めばいいのだろう」という一点ではないでしょうか。自分が20代・30代のころに友人の式へ出席したときの感覚と、60代で親族として招かれる今とでは、求められる金額も立ち居振る舞いも変わります。兄弟姉妹の子どもという近い関係だからこそ、少なすぎても多すぎても落ち着かない、という声は少なくありません。
先に結論をお伝えします。甥の結婚式に60代のおじ・おばとして出席する場合、包む金額は5万円か10万円のどちらかを選ぶ人が多数派です。ある調査では5万円が最も多く36.9%、10万円を包む人も約3割いて、平均金額は61,663円でした。つまり「5万円なら少なすぎることはなく、10万円なら包みすぎでもない」という幅の中にほとんどの人が収まっています。
この記事では、金額の決め方だけでなく、夫婦そろって出席するとき・子どもを連れるときの考え方、避けられる傾向がある数字、ご祝儀袋の選び方と書き方、新札の入れ方、ふくさの扱い、返信はがきと当日の装いまで、順番に整理します。慣習にはひとつずつ理由があります。理由がわかれば、当日その場で判断に迷うことがなくなります。
・60代のおじ・おばが甥に包む金額の目安と、調査に基づく実際の分布
・夫婦での出席・子ども連れ・欠席など、状況が変わったときの考え方
・包む金額に応じたご祝儀袋の選び方、表書きと中袋の書き方
・新札の入れ方、上包みの重ね方、ふくさの色と受付での渡し方
・返信はがきの書き方と、60代の男女別の装い・当日の振る舞い
甥の結婚式のご祝儀、60代は5万円か10万円が目安

迷ったら5万円、近い関係なら10万円で考える
結論から言えば、甥へのご祝儀は5万円を基準に考え、日ごろの付き合いが深いなら10万円まで引き上げる、という決め方で問題ありません。甥や姪への結婚祝いの金額相場は5万円〜10万円程度とされており、アンケートでは5万円が最も多く36.9%、10万円を包む人も約3割存在し、平均金額は61,663円という結果が出ています。平均が61,663円という数字は、5万円を選ぶ人が多数派でありながら、10万円を包む層がそれを押し上げている構造を表しています。判断に迷ったときは、甥が生まれたときから可愛がってきた、帰省のたびに顔を合わせてきたといった関係の深さを基準にしてください。交流が深い場合には15万円まで包むこともありますが、ここまでは少数派です。まずは5万円か10万円の二択で考え、そのうえで後述する親族間の相談を挟むのが、いちばん失敗しない順番です。

なぜ友人の3万円より高い額を包むのか
甥へのご祝儀が高めになるのには、はっきりした理由があります。甥や姪は親族の中でも関係が近く、さらに包む側が年上であることが多いためです。一般的なご祝儀の基準額である3万円は、友人・同僚という横の関係を前提にした金額です。これに対して、おじ・おばは新郎新婦を送り出す側に近い立場で列席します。ゼクシィ結婚トレンド調査2024でも、1人当たりのご祝儀平均額は友人3万円、上司4万2000円、親族7万円となっており、親族という立場が最も高い水準にあることが確認できます。同じ調査では、新郎新婦が受け取るご祝儀総額の平均は205万6000円でした。甥の式に出るということは、この総額を支える親族側の一人として数えられる、ということでもあります。金額の背景を知っておくと、5万円という額が「多い」のではなく「立場に見合っている」と納得しやすくなります。
| 項目 | 友人・同僚 | 親族(甥・姪を含む) | 上司・恩師 |
|---|---|---|---|
| 1人当たりの平均額 | 3万円 | 7万円 | 4万2000円 |
| 甥・姪に包む額の目安 | — | 5万円〜10万円(平均61,663円) | — |
| 金額を決める基準 | 横の関係が基準 | 関係の近さと年齢差 | 職場での立場 |
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2024(1人当たり平均額・総額)、甥姪へのご祝儀に関する調査(分布・平均61,663円)をもとに編集部で整理。
60代という年代が金額に与える影響
60代は、現役で働いている人と退職後の人が混在する年代です。同じ「甥のおじ・おば」でも、家計の状況は一様ではありません。それでも金額の目安が5万円〜10万円で共通しているのは、ご祝儀が収入ではなく関係性に対して決まる慣習だからです。年齢が上がるほど包む額が増えるのは、多くの場合「年長者は列席者の中で上の立場にある」という位置づけによるもので、収入の多寡を示すためのものではありません。そのため、退職後で余裕がない時期であれば5万円を選ぶことに何の問題もありません。反対に、長年可愛がってきた甥で、孫のような存在だったという場合には10万円を選ぶ人が多くなります。大切なのは背伸びをしないことです。無理をして包んだ金額は、その後の親族付き合いの基準として残ってしまい、兄弟姉妹の子どもが続けて結婚したときに自分を縛ることになります。
実は、金額そのものより「親族でそろえること」が重視される
意外と知られていないのですが、甥のご祝儀で最も気にされるのは金額の絶対値ではなく、おじ・おば同士で大きな差が出ていないかという点です。親族間での相談は重要で、同じ立場の兄弟姉妹が5万円で足並みをそろえているところへ1人だけ10万円を包むと、後から知った側が気にすることがあります。逆に自分だけ控えめだった、という状況も落ち着きません。ですから、招待状が届いたらまず兄弟姉妹やほかのおじ・おばに「いくらにする?」と一声かけるのが実用的です。これは値段を探り合う行為ではなく、両家の体裁を整えるための確認です。誰かが先に決めているなら、それに合わせるのがいちばん簡単な正解になります。相談する相手がいない場合は、甥の親、つまり自分の兄弟姉妹に直接聞くのが確実です。
夫婦で出席・子ども連れ——人数が変わるときの考え方
夫婦そろって出席するなら10万円程度
夫婦で出席する場合は、2人分をまとめて10万円程度を包むのが一般的です。ご祝儀は本来「席を用意してもらったことへのお礼」と「お祝いの気持ち」の両方を含むため、席が2つになれば金額も2人分で考えます。袋は夫婦で1つにまとめ、表書きの名前は夫のフルネームを中央に書き、その左側に妻の名前だけを添える形が広く使われています。夫婦別々に袋を用意する必要はありません。なお、夫婦のうち一方だけが出席し、もう一方が欠席する場合は、出席する1人分として考えるのが基本ですが、欠席する側の気持ちも込めて少し上乗せする人もいます。どちらにするかは、甥との関係の深さと、ほかの親族とのバランスで決めてください。金額を決めたら、袋に入れる前に必ず枚数を数え直しておくと安心です。
子どもを連れて出席するときの上乗せの考え方
自分の子ども、つまり甥から見た従兄弟を連れて出席する場合は、その人数分の席と料理が増えることを前提に金額を考えます。目安として、子どもが大人と同じ食事を取るのか、お子様向けの食事になるのかで扱いが変わるため、まず招待状の返信時に人数と子どもの年齢を伝えておくことが出発点になります。そのうえで、上乗せする額は親族間で相談して決めるのが確実です。ここで独自に細かく計算する必要はありません。親族のご祝儀は、家ごと・地域ごとに「この家ではこうする」という慣習が残っていることが多く、自分だけで判断すると浮いてしまうことがあるからです。子連れで出席する場合は、当日の席次や控室の使い方にも配慮が必要になるので、金額の相談と同時に、子どもが途中退席できる導線があるかも確認しておくと当日が楽になります。
欠席するとき、親族だけの少人数婚のとき
都合が合わずに欠席する場合でも、甥という近い関係であればお祝いは何らかの形で届けるのが一般的です。出席するときと同じ額を包む必要はなく、控えめな額を包む、あるいはお祝いの品や祝電で気持ちを伝えるという選択もあります。金額を決める際は、やはりほかのおじ・おばと足並みをそろえておくと安心です。また、最近は親族のみ・少人数での結婚式も増えていますが、規模が小さくてもご祝儀は発生します。「身内だけの小さな式だから不要だろう」と考えて手ぶらで向かうと、ほかの親族との間で差が出てしまいます。招待を受けた時点で、通常の式と同じ基準で準備しておくのが無難です。会費制のパーティー形式など、主催者から金額の指定がある場合はそれに従い、別途ご祝儀を用意するかどうかを兄弟姉妹に確認してください。
| 立場・関係 | 新郎新婦のおじ・おば(親族側の年長ゲスト) |
| 相場・目安 | 1人で出席:5万円〜10万円(最多は5万円で36.9%、平均61,663円)/夫婦で出席:10万円程度 |
| 性質・特徴 | 関係が近く年上であることが多いため、友人の基準額3万円より高くなる |
| 持ち物・注意点 | 新札/金額に見合ったご祝儀袋/ふくさ/筆ペン。金額はほかのおじ・おばと事前に相談 |
式場スタッフへの心づけは、親族が用意しなくてよい
親族として出席すると「スタッフへの心づけは自分も渡すべきか」と気になることがありますが、これは新郎新婦側が判断することで、ゲストの立場で用意する必要はありません。心づけは必ずしも必須ではなく、式場によっては不要であることを事前に案内している場合もあります。相場は3,000円〜1万円程度、ヘアメイクや着付け、司会者、カメラマンへの心づけは5,000円〜10,000円ほどとされ、渡す場合は少額ならポチ袋に、10,000円以上になる場合はご祝儀袋に入れ、スタッフが仕事に取り掛かる前に渡すのが基本です。もし甥やその親から「着付けの方に心づけをお願いできないか」と頼まれたときだけ、この目安を思い出してください。頼まれてもいないのに独断で渡すと、両家で決めた方針と食い違うことがあります。ゲストとして関わる範囲は、自分のご祝儀までと考えておけば十分です。
9万円は避ける?包む金額で気をつけたい数字

「苦」を連想させる9万円は選ばれにくい
金額を決めるとき、9万円だけは候補から外しておくと安心です。「苦」を連想させるため避けるべきとされており、5万円と10万円の中間を取ろうとした結果この額になってしまうケースがあるので注意してください。言葉の響きで数字を選び分けるのは、結婚にまつわる慣習の中では珍しいことではありません。招待状の返信で句読点を使わない、「切れる」「終わる」といった言葉を挨拶で避けるのと同じ発想です。理屈としては迷信に近いものですが、受け取る側の親世代が気にする可能性がある以上、わざわざその数字を選ぶ理由はありません。中間の額にしたいのであれば、9万円ではなく8万円を選ぶ、あるいは10万円に寄せるという判断になります。金額は袋の中を開けるまで分かりませんが、中袋に漢数字で記入する以上、必ず目に入ります。
偶数は避ける、ただし8万円と10万円は例外
ご祝儀では「別れ」を連想させる偶数は避けるのが基本とされています。2で割り切れる数は「分けられる」「分かれる」につながると考えられてきたためで、友人の式で3万円が基準になっているのもこの考え方に沿ったものです。ただし例外があり、末広がりの8万円と、区切りのよい10万円は偶数でも選ばれます。8は漢字の「八」が下に向かって広がる形であることから縁起がよいとされ、10は「十分」「満ちる」という意味で受け取られます。つまり甥に包む金額として現実的なのは、5万円・8万円・10万円という並びです。この3つのいずれかであれば、数字の意味で引っかかることはありません。なお、奇数がよいとされるのは「分別がつく」という考え方によるもので、金額の大小とは関係ありません。
「5万円では少ない気がするけれど10万円は負担が大きい」と考えて、中間の9万円を選んでしまうケースがあります。9万円は「苦」を連想させるため避けられる傾向があるので、中間にしたい場合は8万円を選ぶか、10万円に寄せて考えてください。金額を決めたら、袋に入れる前に必ず枚数を数え直し、中袋に書いた漢数字と一致しているかを確認しましょう。
地域や家で違うものは、両家や兄弟姉妹に確認する
ここまで紹介した数字の考え方は全国的に広く使われているものですが、地域や家によって扱いが異なる場合があります。親族のご祝儀は特にその傾向が強く、「うちの家系では甥姪には一律でこの額」と決まっているところもあれば、結婚式の規模や新郎側・新婦側の慣習に合わせて調整するところもあります。自分の育った家の慣習が、甥の結婚相手の家では通用しないこともあります。そこで確実なのは、甥の親である自分の兄弟姉妹に「そちらの家ではどうしている?」と聞くことです。両家で足並みをそろえる必要がある部分は、新郎新婦とその親がすでに話し合っていることが多いので、その方針を教えてもらうのが早道です。慣習は正解がひとつではありません。地域差があるものを一般論で押し通すより、その場の当事者に確認するほうが、結果として角が立ちません。
袋の格は中身の1/100——ご祝儀袋の選び方と書き方
5万円以上なら、あわじ結びや輪結びの袋を選ぶ
ご祝儀袋は、包む金額とバランスが取れていることが選び方の基本です。目安として、中身の1/100程度の金額相当の袋を選ぶとされています。具体的には、5万円以上を包むなら豪華な水引(あわじ結び・輪結び)が付いた袋や、上質な和紙を使った袋を選びます。1万円程度であれば、水引が印刷された簡易タイプで問題ありません。甥に5万円や10万円を包む60代のおじ・おばであれば、迷わず水引が立体的に結ばれたしっかりした袋を選ぶことになります。色は白がフォーマルで、親族として出席する場合は白が無難です。色柄の入った華やかな袋は友人向けの性格が強く、親族が使うと軽く見えることがあります。金額に対して袋が立派すぎるのも、開けたときに釣り合いが取れません。袋選びは「中身に合わせる」の一点を守れば外しません。
結び切り=一度結ぶとほどけない水引の結び方。「一度きりであってほしい」祝い事である結婚式に使います。
あわじ結び=結び切りの一種で、両端を引くとさらに固く締まる結び方。結婚祝いの袋で広く使われます。
輪結び=水引を輪の形に結んだ装飾性の高い結び方。5万円以上を包むときの袋に使われることがあります。
表書きは「寿」か「御結婚御祝」、4文字は避ける
表書きは「寿」または「御結婚御祝」と書きます。どちらを選んでも問題ありませんが、親族として包む場合は「寿」がすっきりして見えます。ここで気をつけたいのが文字数で、4文字は避けるのが慣習です。「結婚御祝」と書くと4文字になってしまうため、上に「御」を付けて「御結婚御祝」の5文字にします。名前は袋の下段中央に、姓と名を続けたフルネームで、表書きの「寿」より小さめに書きます。姓だけでは、親族が多数出席する結婚式では誰のものか分からなくなります。夫婦で連名にする場合は夫の名前を中央に書き、その左に妻の名前のみを添えます。連名は3名まで可能とされているので、夫婦2人であれば問題ありません。すでに水引に短冊が付いているタイプなら、短冊に直接書く形になります。
筆記用具は筆か筆ペン、ボールペンは避ける
書くときの道具は、筆または筆ペンが適しています。表書きは「濃い黒色ではっきりと太めに」書くのがマナーとされているためで、太めのサインペンでも対応できますが、ボールペンや万年筆など線が細い筆記用具は使わないのが基本です。墨の濃さにも意味があり、薄い墨は弔事で用いるものなので、慶事では濃い黒を使います。筆ペンには「濃墨」「薄墨」の2種類が売られているので、購入時に表示を確かめてください。普段筆ペンを使い慣れていないと、いきなり本番の袋に書くのは緊張します。文房具店で売られている練習用の紙や、不要な紙に同じ文字を何度か書いてから本番に移ると、線の太さが安定します。書き損じたときに備えて、袋は予備をもう1枚買っておくと落ち着いて作業できます。当日の朝に慌てて書くのではなく、前日までに済ませておきましょう。
中袋は金額を旧字体で、裏に住所を——住所の書き忘れに注意
中袋の表面には金額を漢数字で記入します。改ざんを防ぐため「1万円は壱萬円」のように旧字体を用いるのが決まりで、5万円なら「金伍萬円」、10万円なら「金拾萬円」と書きます。裏面には住所と名前を記入します。この住所は新郎新婦がお礼状やご祝儀のお返しを送る際に使う大切な情報なので、省略しないでください。実際によくある失敗が、中袋の裏に名前だけ書いて住所を書き忘れるというものです。親族だから住所は知っているはずだと考えがちですが、内祝いの手配は新郎新婦が受付で集計した情報をもとに進めることが多く、書かれていないと確認の手間をかけることになります。都道府県から省略せずに書き、マンション名や部屋番号まで正確に記入しましょう。中袋に金額欄・住所欄が印刷されている場合は、その欄に沿って書けば問題ありません。

ご祝儀袋を買ってきて中袋を取り出したら、裏に「金額」「住所」「氏名」の欄が印刷されていた。表に書くと聞いていたのに、どちらに書けばいいのか。式の前夜、筆ペンを持…
新札はなぜ必要?お札の向きと上包みの重ね方

新札を用意するのは「前から楽しみにしていた」証
ご祝儀には新札を用意するのがマナーです。理由は、「この日を前から楽しみにして用意していました」という気持ちを表すためで、新郎新婦の新しい門出を真新しいお札で祝福するという意味があるともいわれています。裏を返せば、使い古したお札は「急に用意した」印象につながるということです。慶事と弔事で作法が反対になっているものは多く、弔事であえて新札を避けるのは「前もって準備していた」ことになるのを防ぐためです。この対比を知っておくと、なぜ新札なのかが記憶に残ります。甥の結婚式のように日程が早くから分かっているものは、招待状が届いた時点で両替を済ませておけば当日慌てることがありません。5万円なら5枚、10万円なら10枚と枚数も増えるので、まとめて両替しておくほうが効率的です。
新札が手元にないときの両替方法
新札は銀行のフロントや両替機で両替できます。窓口か両替機を利用するのが一般的で、手数料は銀行によって異なるため事前に確認しておくと安心です。枚数が多い場合や、窓口の混雑が予想される時間帯は、時間に余裕を持って出向いてください。また、結婚式場のフロントで両替に応じてくれるところもあります。当日どうしても新札が用意できなかったときの最後の手段として覚えておくと、気持ちが楽になります。ただし式場によって対応は異なるので、当てにして出発するのではなく、あくまで保険と考えてください。どうしても新札が手に入らない場合は、手元にあるお札の中からできるだけきれいなものを選び、折り目をアイロンで伸ばして使う方法もあります。大切なのは、受け取った側が気持ちよく開けられる状態にしておくことです。
お札は肖像画が上、複数枚は向きを揃える
中袋にお札を入れるときは、肖像画が上にくるようにします。中袋の表から見てお札を入れると肖像画が上にくる、と覚えておけば向きに迷いません。甥に包む額であればお札は複数枚になるので、すべての向きを揃えてからクリップなどで仮止めしておくと、入れる途中でずれません。入れるときはお札の角が折れないよう、ゆっくり中袋に滑り込ませます。新札は張りがあって角が立っているため、勢いよく差し込むと先端が折れてしまいます。せっかく用意した新札に折れ目が付くと、準備した意味が半減してしまいます。中袋に入れ終えたら、表書きの向きと中袋の向きが揃っているかをもう一度確認してください。バタバタと当日の朝に作業すると、この確認が抜けます。前日までに袋詰めまで終えておくことをおすすめします。
上包みは下の折り返しを上に——逆にすると弔事の形になる
最後に上包みで中袋を包みますが、ここが最も間違えやすい場所です。袋の上の折り返しに、下の折り返しを重ねるのが慶事の形です。下から上に重ねることで「幸せを受け止められるように」との願いが込められているとされています。逆に上側を下に被せると弔事向けの形になってしまうため注意してください。市販のご祝儀袋は最初から正しく折られた状態で売られているので、中袋を入れる際に一度開いてしまい、閉じるときに反対に重ねてしまう、というのが典型的な失敗です。開く前にスマートフォンで写真を撮っておくと、元の形に戻せます。受付で渡すときには水引の下から折り返しが見えるので、向きが逆になっていると目に入ります。作業の最後に、折り返しが下から上に重なっているかを指でなぞって確かめる習慣をつけてください。
中袋を入れるために上包みを開いたあと、閉じるときに上下を反対に重ねてしまうのがよくある失敗です。慶事は「下の折り返しを上に被せる」、弔事はその逆。包み終えたら、折り返しが下から上に重なっているかを必ず指で確かめましょう。水引の下から見える部分なので、受付で気づかれやすい箇所です。
ふくさに包めば、受付での所作が変わる
色は赤・ピンク・オレンジなどの暖色、紫なら両用できる
ふくさとは、ご祝儀やお香典などの金封を包んで持ち運ぶための風呂敷のことです。金封を丁寧に扱うためのアイテムで、水引の乱れや折れを防ぐ役割があり、相手への敬意を示す意味も込められています。ご祝儀用には赤、ピンク、オレンジ、ベージュなどの暖色系を選びます。青、緑、灰色などの寒色は弔事用なので、慶事では避けてください。1枚で両方に使えるものを持ちたいなら紫が便利で、紫は慶事と弔事のどちらにも使えます。60代であれば冠婚葬祭に出る機会が続くので、紫を1枚常備しておくと迷いません。柄は無地が最も形式的ですが、派手でなければ柄が入っていてもかまいません。お祝い事のふくさには鶴亀、松竹梅、鳳凰、扇など縁起のよい柄を選ぶとよいとされています。親族として出席するなら、落ち着いた色味と控えめな柄が全体の装いにも合います。

包み方は、ポケットが左にくる向きから
包み方には決まった向きがあります。ふくさを開いたときにポケットが左側にくる向きにし、ご祝儀袋を自分から見て文字が読める方向、つまり表向きにしてポケットへ挟みます。挟むタイプ(金封ふくさ)であればこれだけで完成します。風呂敷タイプの場合は、慶事は時計回りにふくさを回して包むのが基本の考え方です。慶事と弔事で開く向きが逆になるため、ここも作法が反対になっている代表例です。包む作業は当日の朝ではなく、前日までに済ませておきましょう。ご祝儀袋を裸のままバッグに入れると、移動中に水引が潰れたり、上包みの角が折れたりします。せっかく上質な袋を選んでも、受付で渡す瞬間に型崩れしていては準備が台無しです。ふくさは袋を守る道具でもあるのだと考えると、必要性が腑に落ちます。
受付では、ふくさをお盆代わりにして渡す
受付での渡し方にも型があります。まずふくさからご祝儀袋を取り出し、さっと畳んだふくさをお盆代わりにして、その上にご祝儀袋をのせます。そして相手の正面に向けて渡すのがマナーです。袋の文字が相手から読める向きになるよう、手元で向きを変えてから差し出します。このとき「本日はおめでとうございます」と一言添えると、動作と言葉がそろいます。受付の前でふくさを探して鞄の中をかき回すことにならないよう、会場に入る前に取り出しやすい位置へ移しておくと落ち着いて対応できます。受付は同時に何人も並ぶ場所なので、手際のよさがそのまま所作の良さとして伝わります。難しい動作ではありません。取り出す、畳む、のせる、向きを変えて渡す。この4つの流れを一度家で練習しておけば、当日は自然に手が動きます。
返信はがきから当日の装いまで、60代が押さえる作法
招待状の返信は2〜3日以内、遅くとも1週間以内に
招待状が届いたら、2〜3日以内、遅くとも1週間以内を目安に返信はがきを出します。親族は席次や料理の手配に関わるため、返事が早いほど甥とその親が動きやすくなります。表面は「行」や「宛」の部分を二重線で消して「様」と書き換えます。裏面は黒の万年筆かボールペンで濃くはっきりと書き、句読点は使わずスペースで代用します。書き損じたときは修正テープを使わず、定規で二重線を引いて訂正してください。二重線の代わりに「寿」という文字を上から書いて消す「寿消し」もおすすめで、お祝いの気持ちがより伝わる、縁起の良い書き方です。住所は都道府県名から省略せずに書き、マンション名・部屋番号まで正確に記入します。もし返信が遅れてしまった場合は、お祝いの言葉と共に「お返事が遅れてしまい申し訳ございません」と一言添えれば十分です。
60代女性は、フォーマルワンピースにジャケットが定番
60代の女性ゲストは、フォーマルワンピースを着用するのが一般的です。格調高いロングドレスにジャケットを羽織ったスタイルや、上質なスーツアンサンブルなども定番で、親族としての品格を意識した装いが大切になります。選ぶときの原則は、肌の露出を抑えること、落ち着いた色味で統一すること、上質な生地を選ぶことの3点です。生地はシルクや上質なレース、とろみのある素材など重厚感のあるものを選ぶとまとまります。フォーマルワンピースにジャケットを合わせ、パールのアクセサリーやコサージュをつけて少し華やかさを出すのもポイントです。高級ホテルや格式の高い会場ではロングドレスが最適とされています。着心地も重視して、無理のないフィット感のものを選んでください。ハンカチは白または淡いピンクで、シルクや綿の素材を持つと上品にまとまります。和装に挑戦するなら、訪問着や色留袖などフォーマルな着物がふさわしいとされています。

甥や姪の結婚式に叔母として招かれると、「親族なのに地味すぎないか」「黒留袖を用意したほうがいいのか」など、友人として出席するときとは違う迷いが出てきます。コーデ…
スカートに抵抗があるならワイドパンツという選択
長時間座ることを考えるとスカートは落ち着かない、という人にはワイドパンツという選択肢があります。見た目がスカートに近いシルエットになるため、フォーマルな場でも選ばれています。足さばきが楽で、立ち座りの多い披露宴では動きやすさという実用面でも利点があります。選ぶときは、素材に上質感のあるものを選び、上にジャケットやブラウスを合わせて全体をフォーマルにまとめてください。カジュアルな素材のパンツでは、どれだけ形が整っていても場に合いません。60代になると、足元の冷えや腰への負担など、当日の体調を左右する要素が増えます。見た目だけで選ぶと、披露宴の後半で辛くなることがあります。親族は写真撮影や親族紹介で立つ場面も多いので、履き慣れた靴と合わせて、当日に無理のない組み合わせを前日までに一度着てみて確かめておきましょう。
60代男性はブラックフォーマル、靴とベルトは黒で統一
男性の装いはシンプルです。どの年代でもブラックフォーマル、つまり黒いスーツが標準とされており、60代でもこれは変わりません。革靴やベルトは黒で揃え、全体的に上質感を意識すると60代に合った品格が際立ちます。年齢を重ねると差が出るのは、デザインよりも手入れの状態です。スーツにシワや型崩れがないか、靴に傷や汚れがないか、シャツの襟が黄ばんでいないかを前日までに確認してください。しばらく袖を通していないスーツは、サイズが合わなくなっていることもあります。当日の朝に気づくと打つ手がないので、1週間前には一度着てみることをおすすめします。ネクタイやポケットチーフの選び方に迷う場合も、基本のブラックフォーマルから外れなければ大きく外すことはありません。親族側の年長者として、整った装いで出席することが甥への何よりの配慮になります。
受付では、まず「本日はおめでとうございます」とお祝いの言葉を述べ、「新郎のおじの◯◯です」というように、どちら側の親族であるかを申し出ると受付係が名簿を探しやすくなります。会場では両家の親族にあいさつを欠かさないことが、年長のゲストとして最も自然な振る舞いです。新郎新婦の親族は、ゲストの振る舞いについて関心が高い傾向があります。
まとめ:甥の結婚式のご祝儀で迷わないために
甥の結婚式は、自分が親族側の年長者として招かれる場です。ご祝儀の金額は5万円か10万円という幅の中で決まり、その根拠は「関係が近く、年上であることが多いから」という一点に尽きます。ゼクシィ結婚トレンド調査2024でも親族の1人当たり平均は7万円で、友人の3万円とは前提が違うことが数字にも表れています。金額が決まったら、あとは袋・新札・ふくさという3つの準備を順に進めるだけです。今日できる最初の一歩は、兄弟姉妹に「いくらにする?」と一本連絡を入れることです。ここが決まれば、袋選びも両替も一気に進みます。
数字や統計はゼクシィ結婚トレンド調査2024、書き方の作法はご祝儀袋の書き方と返信はがきの書き方を参照しています。慣習は地域や家によって異なる場合があるため、最終的な判断は両家や親族間での確認を優先してください。

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