招待状が届いて売り場に立つと、ご祝儀袋が棚一面に並んでいて手が止まります。水引の色が違うもの、和紙の厚みが違うもの、値段が何倍も違うもの。どれを選んでも受け取ってもらえそうに見えるだけに、かえって決め手がありません。売り場で10分以上迷った経験がある人は少なくないはずです。
先に結論をお伝えします。結婚式に関わる袋は4種類しかありません。招待された側が用意するのは「ご祝儀袋」と、それを包む「袱紗(ふくさ)」の2つ。新郎新婦側が用意するのは「お礼・お車代の袋」と「引出物・内祝いにかける、のしの付いた袋」の2つです。そして4種類すべてが、「結婚は一度きりであってほしい」という一点から選び方が導かれます。水引を結び切りにするのも、10本にするのも、理由はここに集約されます。
この記事では、袋の全体像をつかんだうえで、ご祝儀袋の選び方、表書きと名前の書き方、中袋の記入、外袋の折り返しと袱紗の包み方、立場別に包む金額の目安、そして新郎新婦側が用意する袋までを、迷いやすい順に並べて解説します。慣習には地域差や家ごとの違いがあるため、断定できない部分は「確認したほうがよい点」として正直にお伝えします。
・結婚式に関わる4種類の袋と、それぞれ誰が用意するのか
・ご祝儀袋は「包む金額の約1/100」を目安に選ぶという基準
・表書き・名前・中袋で迷う場面と、その場での判断のしかた
・袱紗の色の選び方と、左から包んで右開きで渡すまでの手順
・立場別・夫婦・子ども連れで包む金額の目安と、袋の格の合わせ方
結婚式で使う袋は4種類|まず全体像をつかむ

招待された側が持っていく袋は、ご祝儀袋と袱紗の2つだけ
ゲストとして当日持参する袋は2つで足ります。現金を包む「ご祝儀袋」と、そのご祝儀袋を包んで持ち歩く「袱紗」です。これ以外に特別な袋は必要ありません。
なぜ2つ必要なのかというと、ご祝儀は現金をそのまま手渡さない、という考え方が土台にあるからです。袋に包み、さらに袱紗で包むという二重の手間そのものが、相手への敬意とお祝いの気持ちを形にしています。裸のご祝儀袋をバッグから出して渡しても受け取ってはもらえますが、袱紗があると袋の角が折れたり汚れたりするのも防げます。
売り場で迷う人の多くは、この2つがセットだという前提を知らないまま、ご祝儀袋だけを手に取っています。当日の朝になって「包むものがない」と気づき、そのままバッグに入れて出てしまうのがよくある流れです。ご祝儀袋を買うときに袱紗も同じ売り場で選んでおけば、この失敗は起きません。袱紗は消耗品ではなく、色を選んでおけば次の式でも使えます。
新郎新婦側が用意するのは、お礼の袋と引出物・内祝いの袋
式を挙げる側が準備する袋は、大きく2系統です。ひとつは、受付・スピーチ・余興・司会などを引き受けてくれたゲストに渡す「お礼」と、主賓や遠方ゲストに渡す「お車代」の袋。もうひとつは、引出物にかけるのしと、式後に贈る内祝いののしです。
お礼とお車代の袋は、金額に応じて形を変えます。ゼクシィの「お礼・お車代」の解説では、1万円未満ならポチ袋や封筒、1~3万円なら水引が印刷されたご祝儀袋、5万円以上なら大きめのご祝儀袋、という使い分けが示されています。表書きは「御礼」「御車代」「御車料」と書きます。
ここで起きやすいのが、当日になって袋の数が足りなくなる事態です。受付を2人に頼んでいたのに袋を1つしか用意していなかった、遠方ゲストの人数を数え違えた、といった取りこぼしは、式の直前の慌ただしさの中で起こります。頼んだ相手の一覧を紙に書き出し、袋に名前を鉛筆で薄く控えておくと、渡す側の親も迷いません。
のしと水引を知ると、4種類すべてが同じ理屈で選べる
4種類の袋は、選び方の基準が共通しています。「のしが付いているか」と「水引がどう結ばれているか」の2点です。この2つの意味を押さえると、売り場で袋を見た瞬間に候補を絞れます。
のしは「のしあわび」の略称で、お祝いごとに海産物を贈った習慣が簡略化されて紙の飾りになったものです。生物(なまもの)を意味するため、祝い事にはのし付き、弔事にはのし無しを使います。病気見舞いものし無しですが、快気祝いは回復が喜ばしいことなのでのし付きになります。
水引には大きく2種類あります。何度もほどけて結び直せる「ちょう結び」と、一度結ぶとほどけない「結び切り」です。出産や入学、新築のように何度あってもよいお祝いにはちょう結びを使い、結婚のように一度きりであってほしい場面には結び切りを使います。この対比さえ覚えておけば、ご祝儀袋も引出物ののしも内祝いののしも、選ぶ結びは同じになります。
結び切り=一度結ぶとほどけない水引の結び方。「一度きりにしたい場面」に使うため、結婚祝いや弔事に用いられます。
あわじ結び=結び切りをアレンジした結び方で、結婚祝いに広く使われます。
ちょう結び=何度も結び直せる結び方。出産・七五三・入学・新築・お中元などに使い、結婚式では避けるのが一般的です。
ご祝儀袋は「包む金額の約1/100」で選ぶと外さない
袋の格は中身に合わせる|約1/100という目安の使い方
どの袋を買うか迷ったときの判断基準は、包む金額の約1/100程度を目安にする、という考え方です。ゼクシィのご祝儀マニュアルでも、この比率が袋選びの目安として示されています。
この目安がある理由は、中身と袋の釣り合いにあります。豪華な水引と厚い和紙の袋を開けたときに中身が控えめだと、受け取った側は差を感じます。逆に、まとまった額を包んでいるのに袋が簡素だと、金額に見合った印象が伝わりません。袋は中身を予告する役割を持っている、と考えると分かりやすいはずです。
具体的には、1万円程度ならシンプルなタイプ、2~3万円ならスタンダードなタイプ、5万円以上なら豪華な水引と上質な和紙のタイプ、という3段階で考えます。やりがちなのは、デザインが気に入ったという理由だけで上位の袋を選び、中身とのバランスが崩れるケースです。売り場では先に金額を決め、その価格帯の棚から選ぶ順番にすると迷いません。
水引は結び切りかあわじ結び、本数は10本を選ぶ
結婚式のご祝儀袋では、水引は結び切りかあわじ結びを選びます。ちょう結びは何度も結び直せるという意味を持つため、一度きりであってほしい結婚式では避けるのが一般的です。
本数は10本が標準です。通常のお祝いでは紅白5本が一般的ですが、結婚祝いでは5本ずつが両家で合わさる意味を込めて10本にします。数えるのが難しければ、売り場で「結婚祝い」と表示されたコーナーの袋を選べば、10本のものが並んでいます。
色は金銀または紅白が基本で、どちらを選んでも問題ありません。より豪華さを出したい場合は金銀を選びます。よくある失敗は、パッケージの見た目だけで選んで、開封後にちょう結びだと気づくパターンです。袋は当日ではなく数日前に開けて中身を確認しておくと、買い直す時間が取れます。水引の種類そのものをもう少し詳しく知りたい方は、次の記事も参考になります。

ご祝儀袋を買いに行くと、紅白、金銀、蝶結び、あわじ結びと種類がずらりと並んでいて、手が止まってしまうことがあります。水引はどれも見た目が似ているため、違いがつか…
色と柄は「誰に渡すか」で決める
白をベースにした袋が正式です。迷ったら白を選べば、どの相手にも対応できます。
理由は、色柄付きや洋風のデザインはカジュアルなものとして扱われるためです。友人同士であれば好みの一枚を選んでも受け取る側に違和感はありませんが、上司や恩師、親族といった目上の相手には白の正式なものが無難です。フォーマルな会場で行われる式では、特に白を選んでおくと安心できます。
実際に選ぶときは、「相手が目上か同年代か」「会場が格式のある場所かカジュアルな場所か」の2軸で考えると決まります。同じ友人でも、ホテルでの挙式と披露宴に招かれたのか、レストランでのパーティーなのかで、しっくりくる袋は変わります。なお、この線引きは地域や家によって受け取り方に差があります。親族の式で判断に迷うときは、同じ立場で出席する家族に一度確認しておくと確実です。
買う前の最後の確認は「のしが付いているか」
袋を決めたら、右上にのしが付いているかを確認します。結婚祝いはのし付きが基本です。
確認を勧める理由は、水引だけが目立つ袋や、モダンなデザインの袋の中に、のしが省略されているものが混ざっているためです。包装されたままだと気づきにくく、当日の朝に開けて初めて分かることがあります。
以下は、金額帯ごとに「袋・水引・想定される相手」をどう組み合わせるかを編集部で整理した一覧です。売り場で立ったまま確認できる粒度にまとめています。
| 項目 | 1万円程度 | 2~3万円 | 5万円以上 |
|---|---|---|---|
| 袋のタイプ | シンプルタイプ | スタンダードタイプ | 豪華な水引と上質な和紙 |
| 水引 | 結び切り/あわじ結び・10本 | 結び切り/あわじ結び・10本 | 結び切り/あわじ結び・10本(金銀も可) |
| 主な場面 | 挙式のみの参加、欠席時 | 友人・同僚として出席 | 親族、夫婦での出席 |
| 確認したい点 | のしの有無 | 白ベースか色柄か(相手で判断) | 中袋の有無・大きさ |
出典:ゼクシィ「ご祝儀マニュアル」(2026年9月時点の掲載内容)をもとに編集部で整理。金額の目安は地域や家によって異なる場合があります。
表書きと名前で差がつく|「寿」か「御結婚御祝」か

表書きは「寿」か「御結婚御祝」|4文字を避ける理由
表書きは「寿」または「御結婚御祝」と書きます。どちらを選んでも結婚祝いとして通用するので、短くまとめたいなら「寿」、言葉で伝えたいなら「御結婚御祝」と考えて差し支えありません。
注意したいのは文字数です。お祝いの場では「4」という数字が縁起の面で避けられるため、表書きも4文字にしないのが慣習になっています。「祝御結婚」と書くと4文字になるため、「御結婚御祝」の5文字にするのが一般的です。
多くのご祝儀袋には「寿」と印刷された短冊があらかじめ付いています。その場合は自分で書き直す必要はなく、短冊をそのまま使えば表書きは完成です。やりがちな失敗は、印刷済みの短冊があるのに気づかず、無地の短冊に手書きして貼り付け、結果的に短冊が2枚重なって不自然に見えるケースです。袋を開けたら、まず短冊が何枚入っているかを数えてから書き始めてください。
名前は表書きよりやや小さく、フルネームで書く
名前は表書きの下段中央に、「寿」の文字よりやや小さめにフルネームで書きます。姓だけにしないのが基本です。
フルネームで書く理由は、受け取った新郎新婦が誰からのご祝儀かを正確に把握するためです。式には同じ姓のゲストが複数いることも珍しくなく、姓だけでは後日のお礼の手配で取り違えが起きます。
バランスを取るコツは、先に表書きの中心線を目で決め、その線上に名前の中心が来るように書き始めることです。書き慣れていない場合は、同じ紙質のメモに一度書いてから本番に移ると、文字の大きさの見当がつきます。もし書き損じたら、短冊だけを買い足して交換できます。袋ごと買い直す必要はありません。
連名は3名まで、4名以上は「外一同」でまとめる
複数人でご祝儀を出す場合、表書きに名前を並べられるのは3名までが目安です。4名以上になるときは、代表者のフルネームを書き、その左側に「外一同」と添えます。
3名までとされているのは、限られた幅に4つ以上の名前を並べると文字が小さくなり、読みづらくなるためです。読みづらい表書きは、受け取る側が名前を書き写す場面で負担になります。
「外一同」でまとめた場合は、全員の名前と各自の金額を別紙に書いて中袋に同封しておくと、新郎新婦が後から確認できます。夫婦で出席する場合は、代表者のみを書く形と、2人の名前を並べて書く形のどちらでも問題ありません。職場の有志で出す場合は、代表者を誰にするかで迷いがちなので、集金の段階で決めておくと当日慌てません。
筆記用具は濃い黒の筆ペン|細字や薄い字にしない
表書きと名前は、濃い黒色で太めに書きます。毛筆か筆ペンが適しています。
濃く太く書くのは、お祝いの気持ちをはっきり表すためです。薄い墨は弔事で用いられるため、慶事では濃い黒を選びます。ボールペンや万年筆は線が細く、正式な場面では使わないのが一般的です。
筆ペンは硬筆タイプと軟筆タイプがあり、書き慣れていないなら硬筆タイプのほうが線をコントロールしやすくなります。近年は、中袋に金額と住所の記入欄が印刷された袋も増えており、欄がある場合の書き方は表書きと少し事情が違います。中袋にボールペンを使ってよいかどうかで迷ったときは、次の記事で条件を整理しています。

ご祝儀袋を用意して、いざ名前や金額を書こうとしたら手元にボールペンしかない。筆ペンは字が震えるし、中袋の小さな記入欄に毛筆で住所を書くのは難しそう。そもそも中袋…
表書きを「祝御結婚」と4文字で書いてしまう、手元にあったボールペンで名前を書いてしまう、の2つは当日の朝に起きがちです。時間がない朝に書こうとすると、どちらも起こりやすくなります。ご祝儀袋は前日までに開封し、短冊の枚数を確認して筆ペンで書き終えておくと、この2つは避けられます。
中袋は式のあとに効いてくる|金額・住所・お札の向き
表面には金額を漢数字で|「壱萬円」と書く理由
中袋の表面には、包んだ金額を漢数字で書きます。1万円なら「壱萬円」と書きます。
「一」「二」「三」ではなく「壱」「弐」「参」といった旧字体を使うのは、あとから線を書き足して数字を変えられないようにするためです。証書などで同じ書き方が使われるのと同じ理由で、金額を明確に固定する意味があります。
最近は金額の記入欄が印刷された中袋も多く、欄の形式に合わせて書けば問題ありません。迷いやすいのは、縦書きの欄か横書きの欄かで書き方を変えるべきか、という点です。旧字体の使い分けや欄がある場合の考え方は、次の記事で早見表とともにまとめています。

ご祝儀袋を買ってきて中袋を取り出したら、裏に「金額」「住所」「氏名」の欄が印刷されていた。表に書くと聞いていたのに、どちらに書けばいいのか。式の前夜、筆ペンを持…
裏面の住所と名前を省かない|実は袋の見た目より大事な一手間
中袋の裏面には、住所と名前を書きます。ここは省略しないでください。
意外と知られていないのですが、新郎新婦にとって最も助かるのは、袋の豪華さではなく中袋の記入です。ご祝儀を記録する作業は式の翌日以降に行われ、誰からいくら届いたかを1件ずつ照合していきます。中袋に何も書かれていないと、外袋の名前と中身を突き合わせる手間が増え、封を開けた順番が崩れると分からなくなることもあります。
「金額を書くのは無粋ではないか」と考えて空欄にする人がいますが、これはむしろ逆に働きます。金額と住所が書かれていれば、新郎新婦は内祝いの手配も住所の確認もその場で済ませられます。連名で出す場合は、表書きが連名なら中袋は片方の名前にすっきりまとめるとバランスが取れます。人数が多い場合は、全員の名前を書いた別紙を入れておくと親切です。
新札を用意する理由と、当日までの段取り
包むお札は新札を用意します。銀行や郵便局で事前に交換しておきます。
新札を使うのは、あらかじめ準備をして待っていたお祝いであることを示すためです。折り目のついたお札は「急いで用意した」印象につながるとされ、慶事では新しいお札が選ばれてきました。
段取りとしては、招待状の返信を出したタイミングで両替まで済ませてしまうのが確実です。窓口の営業日を考えると、式の週に動き出すと間に合わないことがあります。金融機関によって両替の取り扱いは異なるため、枚数が多い場合は事前に確認しておくと安心です。なお、招待状の返信は受け取ってから1週間以内が目安とされています。返信と両替をセットで片付けてしまうと、準備の抜けが減ります。
お札の向きと中包みの折り方をそろえる
お札は、中袋から取り出したときに肖像画が見える向きで入れます。複数枚を包むときは、すべて同じ向きにそろえます。
向きをそろえるのは、受け取った側が開けたときに整って見えるからです。数え間違いも防げます。逆に、向きがばらばらだと枚数を数える手間がかかり、記録作業の負担が増えます。
中袋ではなく半紙で包む「中包み」の形式の場合は、折り方に決まりがあります。左上に空きができるように折るのが慶事の折り方で、左下に空きができる折り方は弔事用です。袋を購入した状態から一度広げてしまうと元の折り目が分かりにくくなるため、広げる前にスマートフォンで写真を撮っておくと復元できます。
外袋の折り返しと袱紗|「幸せをこぼさない」包み方

折り返しは「上を内、下を外」にそろえる
外袋の裏面の折り返しは、上からの折りを内側に、下からの折りを外側にします。購入したときの状態に戻すのが基本です。
この向きには、下からの折りが手前に来ることで「幸せをこぼさない」という意味が込められています。慶事に共通するルールで、弔事では逆向きになります。折り方ひとつで慶弔が入れ替わるため、ここは見た目の好みではなく決まりとして扱われています。
実際にやりがちなのが、中袋を入れるときに外袋を大きく広げてしまい、元の折り方が分からなくなるケースです。袋によっては折り目が浅く、戻したつもりで上下が逆になっていることもあります。広げる前に裏面を一度確認し、下の折り返しが外側に重なっている状態を覚えてから作業すると確実です。水引を完全に外さず、上下にずらすだけで中袋を入れられる袋も多くあります。
袱紗の色は暖色系|紫は慶弔どちらにも使える
結婚式で使う袱紗は、赤みがかった暖色系を選びます。赤、ピンク系、オレンジ系、ベージュなどが適しています。
暖色系を選ぶのは、慶事と弔事で色を分ける慣習があるためです。青系、緑系、グレーといった寒色系は弔事用とされているため、結婚式では避けます。紫は慶弔両用として使えるので、どちらの場面にも1枚で対応したい場合は紫を選んでおくと無駄がありません。
柄は、正式には無地です。ただし結婚式では、松竹梅・小桜・亀甲・鶴といった縁起のよい柄のものも使われています。選ぶ際に迷ったら、まず無地の紫を1枚持ち、その後で結婚式用に暖色系を足す順番が実用的です。同じ袱紗を弔事でも使う予定があるなら、暖色系の1枚だけに絞らないほうが後で困りません。
包むタイプとケースタイプ|どちらを選ぶか
袱紗には、布を折って包む「包むタイプ」と、長財布のような形にご祝儀袋を挟むだけの「ケースタイプ」があります。使い慣れていないならケースタイプ、より正式にしたいなら包むタイプ、という選び分けで問題ありません。
包むタイプには風呂敷型・爪付き・台付きの3種類があり、こちらのほうが正式とされています。一方で、受付の列の中で手早く開く必要がある場面では、ケースタイプのほうが扱いやすいという実用面の利点があります。親族として出席する場合や、目上の立場のゲストとして招かれている場合は、包むタイプを選んでおくと所作も落ち着いて見えます。
もし袱紗が用意できなかったときは、清潔なハンカチで代用できます。無地か淡い色のものを選び、ご祝儀袋を包んでバッグに入れておけば、袋の角が傷むのも防げます。代用であっても、何かに包んで持参するという形が整っていれば問題ありません。
包み方は左から、開くときは右開き|受付での渡し方まで
包むタイプの袱紗は、左から折り始め、次に上、下の順で折り、最後に右側を裏側へ巻き込みます。ポイントは「左から包む」と「右開き」の2つです。
この順番を守る理由は、開くときに右側から自然に開ける形になるからです。慶事は右開き、弔事は左開きと向きが逆になるため、包む順番がそのまま慶弔の区別になっています。
受付では、自分から見て右開きになるように袱紗を持ち、その場で開いてご祝儀を取り出します。取り出したあとは袱紗をたたんでお盆代わりにし、その上にご祝儀袋を乗せて、相手から見て正面になる向きで渡します。よくあるのが、受付に着いてから袱紗を開こうとして列を止めてしまう場面です。会場に入る前、クロークの近くなどで一度袱紗の向きを確かめておくと落ち着いて渡せます。包み方の手順は次の記事で1ステップずつ解説しています。

いくら包むかで袋も変わる|立場別・夫婦・子ども連れの目安
立場別の目安をまず押さえる
包む金額は、新郎新婦との関係で決まります。ゼクシィのご祝儀マニュアルでは、友人は3万円、同僚は2~3万円、上司・部下・恩師は3~5万円、兄弟姉妹やいとこは3~10万円が目安として示されています。上司の平均は4.4万円、恩師の平均は4.1万円、兄弟姉妹・いとこの平均は7.7万円です。
この幅があるのは、地域や家ごとの慣習、勤め先での前例によって基準が違うためです。特に親族の場合は、家として金額を決めているケースがあります。判断に迷うときは、同じ立場で出席する親やきょうだいに確認するのが確実です。
取引先として招かれた場合は、会社から出すなら5万円、個人として出すなら3万円が目安になります。職場から複数名が出席する場合は、同じ立場の人と金額をそろえておくと、後から差が出ません。
| 項目 | 友人・同僚 | 親族 | 上司・恩師 |
|---|---|---|---|
| ご祝儀の目安 | 友人3万円/同僚2~3万円 | 兄弟姉妹・いとこ3~10万円(平均7.7万円) | 3~5万円(上司平均4.4万円/恩師平均4.1万円) |
| 夫婦で出席 | 5~7万円 | 兄弟姉妹5~10万円/いとこ5~7万円 | 5万円 |
| 袋の目安 | スタンダードタイプ | 豪華な水引と上質な和紙 | 白ベースの正式なもの |
| 確認したい点 | 同席する友人と金額をそろえる | 家としての取り決めがあるか | 職場での前例があるか |
偶数を避ける理由と、8万円・10万円が例外になる理由
結婚式では、割り切れない奇数の金額を包むのが一般的です。6万円は割り切れることから別れを連想させるとして避けられる傾向があります。
ただし例外があります。8万円と10万円は、偶数でありながら結婚祝いとして認められています。8は末広がりの形として受け止められ、10は切りのよい数としてまとまった額を包む場面で選ばれてきました。一方、9万円は「苦」を連想させるため避けられます。
この考え方は、金額を決める時点だけでなく、夫婦や複数人で出し合うときにも効いてきます。2人で3万円ずつ出すと6万円になるため、5万円か7万円に調整する、という判断が必要になります。集金してから金額を決めるのではなく、合計額を先に決めてから割り振る順番にすると、偶数になる事態を防げます。
金額は「奇数」が基本で、8万円と10万円は例外として選ばれています。9万円は避けられる傾向があります。複数人で出し合うときは、合計額を先に決めてから1人あたりを割り振ると、偶数になるのを防げます。
夫婦で出席するときの金額と、名前の書き方
夫婦2人で出席する場合は、奇数である5万円または7万円を包む形が選ばれています。友人・同僚なら5~7万円、上司なら5万円が目安です。
2人分なのに5万円でよいのか、と気になるところですが、夫婦の場合は引出物が1つというケースも多く、5万円程度でも問題ないとされています。会場や式の形式によって扱いは変わるため、同じ式に出席する共通の知人がいれば、金額を合わせておくと安心です。
表書きは、代表者1名の名前を書く形と、2人の名前をバランスよく並べる形のどちらでも構いません。子ども連れで出席する場合は、子ども1人あたり5000~1万5000円を夫婦分に上乗せします。年齢の目安としては、小学生までが5000~1万円、中学生以上が1万円~1万5000円です。名前を連名にする場合は3名までが目安で、それ以上になるときは「外 家族一同」と書きます。
挙式のみ・欠席・会費制のときはどう考えるか
出席の形によって金額は変わります。挙式のみ参加する場合は1万円程度が目安です。披露宴の食事や引出物がない分、金額も控えめになります。
欠席する場合は、事情によって考え方が分かれます。出席すると返事をしたあとで急きょ欠席することになった場合は、もともと包む予定だった金額をそのまま渡すのが一般的です。最初から欠席と返事をした場合は、1万円程度をお祝いとして贈る形が選ばれています。会費制のパーティーであれば、会費のほかにご祝儀を用意する必要はありません。
欠席の連絡と金額の判断は、招待状の返信と合わせて考えることになります。返信は受け取ってから1週間以内が目安ですが、欠席の場合は少し時間をおいてから返信するのが配慮とされています。返信はがきの書き方や消す箇所については、次の記事で確認できます。

結婚式の招待状が届き、同封の返信はがきを前に手が止まっていませんか。「行」はどう消すのか、「御」はどこまで消すのか、メッセージには何を書けばよいのか。書き直しが…
新郎新婦側が用意する袋|お礼・お車代・引出物・内祝い
お礼の袋は金額で形を変える
役割を引き受けてくれたゲストへのお礼は、金額に応じて袋を変えます。1万円未満ならポチ袋や封筒、1~3万円なら水引が印刷されたご祝儀袋、5万円以上なら大きめのご祝儀袋です。表書きは「御礼」と書きます。
金額の目安は役割によって異なります。友人に受付やスピーチをお願いした場合は3,000~5,000円、司会や撮影のように専門性の高い役割を担ってもらった場合は1~3万円、二次会の幹事も1~3万円が目安です。
渡すタイミングは、頼んだ役割が終わった後です。新郎新婦は当日動けないため、代理の人、多くは親から渡してもらう形になります。ここで起きやすいのが、渡す人と受け取る人の顔が一致せず、袋が渡らないまま終わる事態です。袋ごとに相手の名前と、どのタイミングで渡すかを紙にまとめて親に預けておくと、抜け漏れを防げます。
| お礼の対象 | 受付、余興、スピーチ、司会、撮影、手作り品の提供者など役割を担ったゲスト |
| 金額の目安 | 友人の役割は3,000~5,000円/司会・撮影は1~3万円/二次会幹事は1~3万円 |
| 袋の選び方 | 1万円未満はポチ袋・封筒/1~3万円は水引印刷のご祝儀袋/5万円以上は大きめのご祝儀袋 |
| お車代の対象と表書き | 主賓、乾杯の発声者、遠方からのゲスト。表書きは「御車代」「御車料」 |
お車代は受付の後に、親からあいさつを兼ねて渡す
お車代は、主賓や乾杯の発声をお願いした人、遠方から来てくれたゲストに渡します。金額は交通費の全額、または半額程度が目安です。
渡すタイミングは、そのゲストの受付が終わった後です。頼んだ側の親が、あいさつを兼ねて目立たないように渡す形が落ち着いています。受付の列の中や、ほかのゲストが見ている場所で渡すと、受け取った側が気を遣うことになります。
遠方ゲストの範囲をどこまでにするかは、両家で基準がずれやすい部分です。片方の家だけが手厚くなると、後から気まずさが残ります。招待客リストを作る段階で、どの距離から対象にするかを両家ですり合わせておくと、当日の判断で迷いません。交通手段を新郎新婦側で手配する場合は、お車代を別に用意するかどうかも含めて決めておきます。
引出物ののしと、袋のサイズ・柄をそろえる配慮
引出物にかけるのしも、ご祝儀袋と同じ考え方です。水引は10本の結び切りを選び、表書きの上部には「寿」と記します。下部には両家の名前をバランスよく配置するか、新郎新婦の名前をフルネームで記載します。
引出物と引菓子の両方にのしを掛けるか、メインの品だけに掛けるかは、地域や式場の慣習によって異なります。ここは自己判断せず、式場の担当者に地域の慣習を確認するのが確実です。
もうひとつ配慮したいのが、ゲストごとに引出物を贈り分ける場合です。品物の内容を変えても、袋のサイズや柄は統一します。同じテーブルで袋の見た目が違うと、贈り分けていることがその場で分かってしまうためです。遠方から来るゲストには、引出物の宅配やカード型のカタログギフトを使うと、持ち帰りの負担を減らせます。
内祝いは式後1か月以内、のしは「内祝」
結婚式に招待できなかった方からお祝いをいただいた場合などには、内祝いを贈ります。のしの表書きは「内祝」とし、水引は結婚式と同じ10本の結び切りです。
名前は新郎新婦の名前を記載します。新郎の名前と家名を中央に置き、新婦の名前を左に配置する形が一般的です。金額の目安は、いただいたご祝儀の半返しから1/3程度とされています。
時期は式後1か月以内に届くように手配するのが一般的です。遅れそうな場合や、式後すぐに動けない事情がある場合は、まず礼状を早めに送り、品物は後から届く旨を伝えておくと相手を待たせません。お礼の言葉が先に届いていれば、多少時期がずれても気持ちは伝わります。なお、内祝いの時期や形式にも地域差があるため、親世代に一度相談しておくと判断しやすくなります。
まとめ|結婚式の袋は理由で選べば当日迷わない
最初の一歩としておすすめしたいのは、ご祝儀袋を買ったその日のうちに開封して、短冊の枚数とのしの有無、水引の結び方を確認しておくことです。ここで不足に気づけば買い直す時間が残りますし、表書きと中袋を前日までに書き終えておけば、当日の朝は袱紗に包んでバッグに入れるだけで済みます。袋の作法は覚える量が多く見えますが、「一度きりであってほしい」という一点から逆算すれば、結びも折り方も同じ方向を向いていることが分かります。
なお、金額の目安や引出物ののしの扱いには地域や家ごとの違いがあります。判断に迷う場面では、両家や式場の担当者に確認するのが確実です。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

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