披露宴の結びに新郎が述べる謝辞。「ゲストの前でカンペを見ながら話したら、頼りなく見えないだろうか」「両家を代表する挨拶なのだから、暗記しないといけないのでは」と、原稿を前に手が止まっている方は少なくないはずです。緊張する場面だからこそ、手元に紙があるかどうかで気持ちの余裕は大きく変わります。
結論からお伝えすると、新郎謝辞でカンペを使うことはマナー違反ではありません。印象を左右するのは紙を持つかどうかではなく、冒頭の挨拶と結びの一文を顔を上げて話し、途中も話の区切りごとにゲストへ視線を戻せているかどうかです。長さは2~3分程度、文字数にして600~900字程度が目安とされています。
この記事では、謝辞の3部構成と時間配分、忌み言葉・重ね言葉の避け方、カンペの紙選び・書き方・持ち方、そのまま使える例文と4つの型、本番で詰まらないための練習法までを順番に解説します。原稿を書き始める前でも、式の前日に最終確認をするときでも、必要な章から読んでみてください。
・新郎謝辞でカンペを使ってよい理由と、ゲストからの見られ方
・2~3分に収める「導入・本題・結び」の3部構成と時間配分
・忌み言葉を避けたカンペの作り方と、紙の選び方・持ち方
・そのまま使える例文と、顔を上げる3つのタイミング
新郎謝辞でカンペを使っても大丈夫?「持ってよい」と言える3つの理由
カンペを手に持って話すことはマナー違反ではありません
新郎謝辞は、原稿やカンペを手に持って話して問題ありません。ブライダル情報サイトのスピーチ解説でも、カンペを持ってスピーチすることはマナーの面で問題がなく、友人・上司・新郎のどの立場でも使ってよいと説明されています。
そう言える理由は、謝辞の目的が「ゲストに感謝を伝えること」にあるからです。暗記した文章をよどみなく話せるかを競う場ではないため、伝えたい内容を取りこぼさず届ける道具として紙を使うのは自然な選択です。披露宴の終盤は、新郎自身の気持ちも高ぶりやすい時間帯。準備してきた言葉が頭から抜けてしまうことは、誰にでも起こり得ます。
よくあるのは、お世話になった方の名前を言い間違えたり、受付や余興を担当してくれた友人へのお礼を言い忘れたりするケースです。一度言い漏らしに気づくと、そのあとは焦りが募って話全体が崩れがちです。カンペがあれば、話す順番と固有名詞を目で確認できるので、こうした取りこぼしを防げます。
ただし、「持ってよい」と「ずっと読み続けてよい」は別のことです。紙に目を落としたままの読み上げになると、ゲストとの間に距離が生まれます。後半で解説する「顔を上げるタイミング」とセットで準備しておきましょう。
ゲストが見ているのは紙ではなく「顔を上げている時間」
カンペを持っていても、ゲストの印象を決めるのは紙の有無より「どれだけ前を向いて話しているか」です。迷ったら、紙を見る時間より顔を上げている時間のほうを長くすることを目標にしてください。
ゼクシィの新郎謝辞の解説では、声に出して事前練習をすればカンペを見ても大丈夫だとしたうえで、前を向いて堂々とした姿が親や親族に安心感を与えると紹介されています。謝辞は新郎が両家を代表して話す場面で、両親や親族はこれからのふたりの姿を重ねながら耳を傾けています。その気持ちに応えるのは、完璧な暗記よりも、ゲストに向けられた表情です。
やりがちなのは、紙を顔の前まで持ち上げて読み、表情がゲストから見えなくなってしまう失敗です。本人は丁寧に読んでいるつもりでも、後方の席からは紙に向かって話しているように映ります。紙は胸の高さで持ち、顔ごと下を向くのではなく目線だけを落とすようにすると、表情が隠れません。
見え方は会場の広さや照明、マイクスタンドの位置によって変わります。リハーサルや会場下見の機会があれば、家族や会場スタッフに後方の席から見てもらい、顔が見えているかを確かめておくと確実です。
実は、丸暗記にこだわるほど本番で言葉に詰まりやすい
意外と知られていないのですが、謝辞を丸暗記して臨むほうが、途中で言葉が出なくなったときに立て直しにくくなります。暗記した文章は一か所でつまずくと次の文が思い出せず、沈黙が長引きやすいからです。
丸暗記は「文章の並び」で記憶しているため、一文を飛ばしただけで全体の流れが崩れます。一方、話すべきポイントを箇条書きにしたカンペは「次に何を話すか」の目印になるので、言い回しが多少変わっても内容は途切れません。緊張で頭が真っ白になった瞬間に、紙へ視線を落とせば次の話題が目に入る。これがカンペを持つ一番の価値です。
もちろん、ゼクシィの例文の中には、原稿を持たずにゲスト全員と一人ひとりへの感謝を伝える型も紹介されています。人前で話すことに慣れていて、簡潔に話したい方には、そうした方法も選択肢になります。ただ、緊張しやすい方が無理に同じ形を目指す必要はありません。
暗記とカンペは二者択一ではない、と考えるのが現実的です。冒頭の挨拶と結びの数文だけを覚え、本題はカンペの箇条書きを見ながら話す「半分暗記」の形なら、顔を上げる場面をしっかり確保しつつ、言い漏らしも防げます。
新郎謝辞でカンペを使うのはマナー違反ではありません。印象を左右するのは、紙を持つかどうかより「冒頭と結びで顔を上げ、区切りごとにゲストへ視線を戻せているか」です。迷ったら、冒頭と結びの数文だけ覚え、本題は箇条書きのカンペを見ながら話す形にしましょう。
何分で何を話す?導入・本題・結びの3部構成と時間配分
そもそも謝辞は「来てくれたゲスト全員へのお礼」
謝辞とは、結婚式・披露宴に参列してくれたゲストへのお礼の言葉のことで、最近では新郎によるスピーチが一般的です。披露宴の締めくくりにあたり、ゲストへの感謝を伝える機会だと考えてください。
披露宴の中で、新郎新婦が自分たちの言葉でゲスト全員に語りかけられる場面は多くありません。祝辞や余興、受付などでお祝いを受け取ってきた側から「ありがとうございました」を返すのが謝辞です。そう捉えると、話す内容の中心は自然と「感謝」に定まり、何を書けばいいのか迷う時間が減ります。
準備でよく混同されるのが、「両親への手紙」と謝辞の違いです。両親への手紙は親に向けたもの、謝辞は会場のゲスト全員に向けたもの、と分けて考えると軸がぶれません。謝辞の中で両親に触れる場合も、ゲストに聞いてもらう前提で、短い感謝の言葉にとどめるのがちょうどよい長さです。親への思いを語り始めると長くなりやすいので、じっくり伝えたい内容は手紙など別の場面に回すと、謝辞全体が引き締まります。
謝辞を誰が述べるか、新郎のあとに新婦がひと言添えるかといった進行は、式の形式や両家の考え方によって異なります。原稿を書き始める前に、プランナーや司会者に謝辞の順番と持ち時間を確認しておくと、書き直しの手間を省けます。
導入30秒・本題1分30秒・結び1分が配分の目安
新郎謝辞は「導入」「本題」「結び」の3部構成で組み立てると、話の流れが整います。マイナビウエディングの解説では、導入が30秒程度、本題が1分30秒程度、結びが1分程度という配分が紹介されています。
この構成が選ばれる理由は、聞き手が話の行き先を予測しやすいからです。はじめにお礼、中盤にふたりの思い、終盤に今後のお願い、という順番は多くの謝辞に共通しているため、ゲストは安心して耳を傾けられます。話す側にとっても、3つの箱に言葉を振り分けるだけで原稿の骨組みができあがります。
導入では「本日はご多用の中お集まりいただき、誠にありがとうございます」といった定番の表現で始め、スピーチや余興、受付を担当してくれたゲストへの感謝を添えます。本題では、当日の感想、ふたりの出会いから結婚までの経験、結婚生活への抱負、両家の両親・友人・職場への感謝を述べます。結びでは「これからも」という言葉でふたりの将来への展望を示し、ゲストの幸福を願う言葉で締めくくります。
配分はあくまで目安です。実際に書いてみると本題がふくらみやすく、とくに親への感謝を述べる部分は長くなりすぎないよう配慮が必要とされています。本題を削るときは、エピソードの数を減らし、感謝を伝える相手は残す、という優先順位で考えると判断しやすくなります。
| 項目 | 導入 | 本題 | 結び |
|---|---|---|---|
| 時間の目安 | 30秒程度 | 1分30秒程度 | 1分程度 |
| 話す内容 | 出席へのお礼、祝辞・余興・受付を担当したゲストへの感謝 | 当日の感想、ふたりの経験、結婚生活への抱負、両親・友人・職場への感謝 | 「これからも」で将来への展望、ゲストの幸福を願う言葉 |
| カンペの書き方 | 暗記する前提で、確認用に一文だけ | 話すポイントを箇条書き、名前は正確に | 「結びに」から始まる締めの一文を全文で |
出典:マイナビウエディング、ゼクシィの新郎謝辞の解説をもとに結婚式の教科書編集部が作成(2026年9月確認)
長さは600~900字、1分間に300~350字のペースで話す
原稿の長さは600~900字程度、時間にして2~3分程度が目安です。ゼクシィでは「大体2分、文字にして600文字前後の長さが適当」と紹介されています。迷ったら、600字前後から書き始めるのが無難です。
聞き取りやすい話し方のペースは、1分間に300~350字程度とされています。人前で緊張すると、ほとんどの人は普段より早口になります。はじめから文字数を多めに詰め込むと、時間内に収めようとしてさらに早口になり、ゲストが聞き取りにくくなるという悪循環が起こります。少なめの文字数で準備しておけば、ゆったり話す余白が生まれ、要所で顔を上げる間も取れます。
具体的には、書き上げた原稿をスマートフォンのストップウォッチで計りながら、本番と同じ声の大きさで読んでみてください。2分に大きく届かないようなら本題にエピソードを一つ足し、3分を超えるようなら本題の話題を一つ削ります。文字数だけで判断せず、声に出したときの時間で調整するのがコツです。
文字数は句読点やかっこの数え方で変わるため、あくまで目安と考えましょう。また、式の進行によっては謝辞の時間があらかじめ決められていることもあります。プランナーから指定があれば、そちらを優先してください。
本題の話題は「当日の感想・ふたりの経験・これからの抱負」から選ぶ
本題で何を話すか迷ったら、当日の感想、ふたりの出会いから結婚までの経験、結婚生活への抱負の3つから選べば形になります。そこに、ゲストのグループごとへの感謝を加えれば、本題の骨組みは完成です。
本題に具体的なエピソードを交えると、より伝わりやすくなると紹介されています。「皆さまに支えられてこの日を迎えられました」という定型の言葉だけでは、どの披露宴でも聞ける挨拶になってしまいます。ゲストが知らないふたりの一場面が加わることで、新郎自身の言葉として届くようになります。
たとえば「式の準備が思うように進まなかった時期に、〇〇(新婦の名前)が一緒に考えてくれて、このふたりならやっていけると感じました」のように、一場面を短く切り取るのがおすすめです。反対に、過去の恋愛話、内輪にしか伝わらない話、下ネタ、自分や相手を必要以上に卑下する表現、くだけた言い方は避けられる傾向があります。会場には年代も立場も異なるゲストがいることを意識しましょう。
天候が悪い日には、足元の悪い中で駆けつけてくれたことへのお礼や、帰路への気配りを添えると親切です。ただし「帰る」は忌み言葉に数えられることがあるので、「どうぞお気をつけてお過ごしください」のような言い方に置き換えると安心です。
原稿を書く前に確認したい言葉選び|忌み言葉・重ね言葉・新婦の呼び方
別れを連想させる言葉は、言い換えれば自然に避けられる
謝辞では、別れや不幸を連想させる「忌み言葉」を避けるのが一般的です。難しく考える必要はなく、書き終えた原稿を一度見直して、該当する言葉を言い換えれば十分に対応できます。
結婚式はふたりの新しい門出を祝う場なので、縁起を大切にするゲストへの配慮として、こうした言葉は昔から避けられてきました。どこまで気にするかは地域や家、世代によって異なる場合がありますが、年配の親族や上司が出席する場では、配慮しておいて損はありません。
ゼクシィでは不幸を連想させる言葉として「苦しい」「悲しい」「別れる」などが挙げられています。マイナビウエディングの解説でも、「別れ、離れる、切る、帰る、去る、出る、逃げる、消える、終わる」など別れを連想させる言葉は避けるべきと紹介されています。言い換えの例としては、「独身生活も今日で終わりです」→「今日から新しい生活が始まります」、「新生活のスタートを切ります」→「新生活の一歩を踏み出します」などが使いやすい形です。
「出席」のように、熟語の中に該当する文字が含まれるだけの言葉まで避けるかどうかは、考え方が分かれます。迷う場合は、両家の親に原稿を一度読んでもらうのが確実です。親世代の目線で気になる言葉を指摘してもらえるうえ、原稿の内容を事前に共有できるという利点もあります。
忌み言葉=結婚式などの祝いの場で、縁起の面から避けられる言葉。別れを連想させる「別れ、離れる、切る、帰る、去る、出る、逃げる、消える、終わる」、関係の悪化を連想させる「冷める、飽きる、嫌う、裂ける、枯れる」、そのほか「苦しい、悲しい、最後」などがある。
重ね言葉=同じ音を重ねたり、繰り返しを表したりする言葉。「くれぐれも、重ね重ね、ますます、繰り返す、どんどん」など。

重ね言葉は「くれぐれも」「ますます」が気づきにくい
忌み言葉と並んで見落としやすいのが、同じ音を重ねる「重ね言葉」です。挨拶の定型句に多く含まれているので、書き終えた原稿から「くれぐれも」「重ね重ね」「ますます」「繰り返す」「どんどん」を探し、見つけたら言い換えましょう。
重ね言葉は、繰り返しを連想させる表現として、結婚の場では縁起の面から避けられることがあります。忌み言葉のように意味そのものが暗いわけではないため、書いている本人が気づきにくいのが特徴です。とくにビジネスの挨拶に慣れている方ほど、「ますますのご発展を」「重ね重ねお礼申し上げます」といった言い回しが自然に出てきます。
言い換えの例を挙げると、「皆さまのますますのご活躍を」→「皆さまのさらなるご活躍を」、「重ね重ねお礼申し上げます」→「あらためてお礼申し上げます」、「くれぐれもお体を大事に」→「どうぞお体を大事に」、「どんどん成長していきたい」→「一歩ずつ成長していきたい」などがあります。意味を変えずに言い換えられるものがほとんどです。
見直すときは、原稿を目で追うだけでなく、声に出して読むのがコツです。音で聞くと、同じ音が続く言葉に気づきやすくなります。上に挙げた言葉以外にも、同じ音を重ねた表現がないかを確かめておくと安心です。どの程度まで気にするかは家ごとに差があるため、判断に迷う言葉は親に相談してから決めましょう。
締めくくりは「最後に」ではなく「結びに」でつなぐ
謝辞の終盤は、「最後に」ではなく「結びに」でつなぐのが適切とされています。カンペの結びの位置には、この言葉をはっきり書いておきましょう。
理由は、「最後」が終わりを連想させる言葉として、忌み言葉に数えられるためです。普段のスピーチやプレゼンでは「最後になりますが」は定番の言い回しなので、口ぐせになっている方も多いでしょう。一方で「結び」という言葉は、人と人との縁を結ぶという響きもあり、祝いの場の締めくくりになじみます。
具体的には、「最後になりますが、皆さまのご健康を」→「結びになりますが、皆さまのご健康を」、「これで挨拶を終わりにします」→「お礼のご挨拶とさせていただきます」と置き換えます。結びの直前には、「これからも」という言葉でふたりの将来への展望を示すと、話が前向きなまま締まります。たとえば「これからもふたりで力を合わせて、温かい家庭を築いてまいります」という一文を置き、そのあとに「結びに」でゲストの幸福を願う言葉につなげる流れです。
本番でやりがちなのは、原稿には「結びに」と書いたのに、緊張して口ぐせの「最後に」が出てしまうことです。結びの一文は暗記しておき、カンペにも大きめの文字で書いておくと、つい言い慣れた言葉が出るのを防げます。
新婦はニックネームではなく名前で呼ぶ
謝辞の中で新婦に触れるときは、普段のニックネームではなく、名前で呼ぶのが一般的です。カンペには、本番で使う呼び方をそのまま書いておきましょう。
マイナビウエディングの解説では、年配の方も多く出席する結婚式で挨拶の中にニックネームを入れると、カジュアルな印象を与えてしまうため注意が必要だと紹介されています。謝辞は両家を代表する挨拶なので、呼び方ひとつで全体の印象が変わります。
よくある失敗は、原稿には名前で書いていたのに、エピソードを話すうちに普段の「〇〇ちゃん」という呼び方が出てしまうケースです。気持ちがこもる場面ほど、言い慣れた呼び方が口をつきます。対策としては、カンペの箇条書きの中に新婦の名前を毎回書き込み、練習の段階から名前で呼ぶ習慣をつけておくことです。「新婦の〇〇」「妻の〇〇」など、どの形で呼ぶかを決めて統一しておくと迷いません。
下の名前だけで呼ぶか、「妻」と添えるかは、入籍のタイミングや両家の雰囲気によって選んでよい部分です。友人中心のカジュアルな会でも、親族や上司が同席しているなら、名前で呼んでおけば安心です。迷ったら新婦本人と相談して決めましょう。
新郎謝辞のカンペの作り方|紙選び・書き方・持ち方の基本
紙はシワになりにくい便箋かカードを選ぶ
カンペの紙は、シワになりにくい丈夫な便箋やカードを選べば間違いありません。白地に黒い文字で書くのが一般的です。
謝辞のカンペは、ゲストの目に触れることを前提に選ぶのがポイントです。新郎が披露宴の締めくくりに手にする紙は、写真や動画にも残ります。前日まで上着のポケットに入れておいたり、控室で何度も見返したりするうちに、薄い紙はすぐに折れや汚れがつきます。丈夫な紙を選ぶのは、見た目を整えるためだけでなく、本番で紙が手の中でよれて読みにくくなるのを防ぐためでもあります。
避けたいのは、シワだらけの紙や汚れのある紙、広告の裏、メモ用紙の切れ端などです。当日の朝に慌てて手近な紙に書き写すと、こうした紙になりがちです。形は、片手で扱いやすい縦長の紙が向いていて、横書きで記載すると見やすくなります。両親への手紙のように手紙形式で読み上げる場合は、正式な便箋を使いましょう。
紙の大きさや色に厳密な決まりはありませんが、タキシードの内ポケットに入るかどうかも確認しておくと、登場から謝辞までの持ち運びに困りません。予備としてもう一枚同じものを作り、新婦や介添えのスタッフに預けておくと、紛失したときも慌てずに済みます。
全文ではなく「話すポイントの箇条書き」で書く
カンペには、スピーチの全文ではなく、話すべきポイントを箇条書きにして書くのがおすすめです。自分の言葉で話しやすくなり、読み上げの印象を避けられます。
全文を書いたカンペは、一文字も漏らさず読もうとして目が紙から離れなくなります。どこまで読んだかを見失うと、目で文章を探す時間が沈黙になって表れます。箇条書きなら、一行を見れば次に話す内容を思い出せるので、紙を見るのは一瞬で済み、すぐに顔を上げられます。
たとえば、導入・本題・結びの流れを箇条書きにすると、次のような形になります。
- 【導入】ご多用の中お集まりいただいたお礼/祝辞・余興・受付のお礼
- 【本題1】今日の感想:たくさんの方に支えられていると実感
- 【本題2】職場の皆さま:一層業務に励む
- 【本題3】友人:準備をしてくれてありがとう、これからも仲良く
- 【本題4】両家の両親への感謝/〇〇(新婦の名前)と温かい家庭を築く
- 【結び】「結びに」皆さまのご健康とご多幸を願う
注意したいのは、箇条書きを短くしすぎて、本番で何を話すつもりだったのか思い出せなくなることです。一行に書く言葉は「話の中身を思い出せる最小限」を目安にし、練習のたびに足したり削ったりして調整しましょう。自分にとって読みやすい量は、声に出して練習してみないとわかりません。
名前・日付・エピソードの要点だけは正確に書き写す
箇条書きが基本とはいえ、新郎新婦の名前、大事な日付、エピソードやメッセージの要点は、カンペに正確に書いておきましょう。ここは言い間違えると取り返しがつきにくい部分です。
話の流れはその場で多少言い回しが変わっても伝わりますが、固有名詞や日付は一文字違えばゲストにそのまま伝わります。お世話になった上司の名前や、余興を担当してくれた友人のグループ名、入籍日などは、緊張していると普段は間違えない方でも言い淀むことがあります。
具体的には、読み方に迷う名前にはふりがなを振っておく、グループ名は正式な呼び方で書く、日付は数字で大きく書く、といった工夫が役立ちます。エピソードは全文ではなく「いつ・誰が・何をしたか」の要点を一行で書いておくと、話しながら中身を思い出せます。また、先に触れた「結びに」の一文や新婦の呼び方も、ここに含めて正確に書いておきましょう。
両家の親族の名前を謝辞の中で読み上げる場合は、書き方や読み方を事前に親に確認しておくと確実です。親族の呼び方は家によって異なることがあり、本人たちが普段使っている呼び方と、改まった場での呼び方が違う場合もあります。
片手で堂々と持ち、コソコソ隠さない
カンペは片手で堂々と持って問題ありません。手紙形式で読み上げる場合は、両手で持つのが自然です。
カンペを袖や手のひらに隠そうとすると、かえって視線が不自然に動き、ゲストからは落ち着きがないように見えます。ブライダル情報サイトの解説でも、カンペをコソコソ隠す必要はなく、片手で持ちながら必要なときに確認して話すのが自然だと紹介されています。持つこと自体に問題がないのですから、隠す理由はありません。
やりがちなのは、マイクを持つ手とカンペを持つ手が決まっておらず、本番で持ち替えてもたつくケースです。スタンドマイクなのか、手持ちのマイクを渡されるのかによって、紙を持つ手は変わります。打ち合わせの際に謝辞で使うマイクの種類を確認し、練習でも同じ持ち方をしておくと、当日の動きがスムーズになります。
紙を持つ高さは胸のあたりにし、顔を覆わないようにします。緊張で手が震えやすい方は、紙を両手で持ったほうが揺れが目立ちにくいこともあります。どちらの持ち方が落ち着くかは人によって違うので、練習の段階で試しておきましょう。
よくある状況:「一文字も間違えたくない」と原稿全文を1枚の紙に小さな字でびっしり書き込み、本番で読んでいる行を見失う。慌てて文章を目で探すうちに顔が上がらなくなり、ゲストからは紙に向かって話しているように見えてしまう。
原因:全文のカンペは「読む」ことが目的になり、一行ずつ追わないと次に進めない。
対策:全文は清書前の下書きにとどめ、カンペは話すポイントの箇条書きにする。名前・日付・結びの一文だけを正確に書き、行間を広く取って、一目で次の行が見つかる余白を残しておきましょう。
そのまま使える例文と、式の雰囲気で選ぶ4つの型
基本の例文:導入・本題・結びをひと通り入れた形
はじめて謝辞を書く方は、次の基本形をベースに、本題の部分を自分たちの言葉に置き換えるのが近道です。忌み言葉と重ね言葉を避け、3部構成で組み立てています。
「新郎の〇〇でございます。両家を代表いたしまして、ひと言ご挨拶を申し上げます。本日はご多用の中、私たちふたりのためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、心温まるご祝辞や楽しい余興、受付をお引き受けくださった皆さま、本当にありがとうございました。
今日この場に立ち、多くの方に支えられてこの日を迎えられたのだと、あらためて実感しております。職場の皆さまには、日頃から温かいご指導をいただいております。家庭を持つ身として、一層業務に励んでまいります。友人の皆さん、忙しい中準備をしてくれてありがとう。これからも仲良くしてください。そして、ここまで育ててくれた両家の両親に、心から感謝しています。
これからは〇〇(新婦の名前)とふたりで力を合わせ、笑顔のあふれる温かな家庭を築いてまいります。未熟なふたりではございますが、今後ともご指導とお付き合いを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。結びに、本日お集まりいただいた皆さまのご健康とご多幸をお祈りし、お礼のご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。」
この例文は、エピソードを入れていない短めの基本形です。600字前後に近づけたい場合は、「今日この場に立ち」のあとに、ふたりの出会いや準備期間の一場面を短く加えてください。天候が悪い日なら、導入に足元の悪い中来てくれたことへのお礼を一文足すと、その日ならではの挨拶になります。職場の話題を入れない場合は、該当する文を削っても流れは崩れません。
感謝を簡潔に伝える型と、相手別に伝え分ける型
基本形を土台にしながら、式の雰囲気に合わせて型を選ぶと、原稿がぐっと書きやすくなります。ゼクシィの謝辞の例文集には、いくつかの異なる組み立て方が紹介されています。まずは「感謝を簡潔に伝える型」と「相手別に伝え分ける型」です。
感謝を簡潔に伝える型は、原稿を持たず、ゲスト全員へのお礼と、個人への感謝を同時に表現する組み立てです。スピーチを準備してくれた人には「忙しい中準備をしてくれてありがとう」と具体的に謝意を伝え、そこにふたりの決意表明を加えます。簡潔さを重視しているので、ゲスト数が少ない会や、進行が押していて短く済ませたい場面に向いています。人前で話し慣れている方でなければ、カンペに箇条書きを3行ほど用意しておくと安心です。
相手別に伝え分ける型は、上司・友人・親族・両親など相手ごとに異なるメッセージを用意する組み立てです。上司には「業務に励む」という決意を、友人には「これからも仲良く」という親しみを、両親には「大黒柱となる」という責任を伝えます。原稿を準備して丁寧さを担保する形なので、職場関係のゲストが多い式や、親族の割合が高い式に合います。
相手別の型は、グループが増えるほど本題が長くなりやすい点に注意しましょう。一つのグループへの言葉は一文から二文にとどめ、全体の長さが3分を超えないよう調整するのがコツです。カンペでは相手ごとに行を分けておくと、誰への言葉を話しているか見失いません。
エピソードを中心にする型は、引用の言葉を正確に
ふたりや家族の具体的なエピソードを軸にしたい方には、「エピソード中心の型」が合います。アットホームな雰囲気の式で、ゲストとの距離を近く感じてもらいたいときに向いています。
ゼクシィの例文では、花嫁の父から届いたメールを引用する形が紹介されています。「わがままな娘ですが」という父親からの言葉に心を動かされたことを伝え、そのうえで新婦を「一生涯守る」という誓いを述べる流れです。そして「結婚っていいですね」という砕けた一言で締めくくり、会場の空気を和らげています。引用が入ることで、新郎の決意に説得力が生まれるのがこの型の強みです。
この型でやりがちなのは、エピソードを詳しく話しすぎて本題が膨らみ、結びにたどり着くころにはゲストの集中が途切れてしまうことです。エピソードは一つに絞り、「いつ・誰の・どんな言葉か」を短く伝えることを意識してください。また、家族の言葉を引用するときは、事前に本人の了承を得ておくと安心です。「わがままな娘」のように謙遜を含む言葉は、親の温かい気持ちとして紹介し、新郎が同じ言葉で新婦を下げる言い方にならないよう気をつけましょう。
引用する言葉はカンペに正確に書き写しておくのが鉄則です。記憶だけで話すと言い回しが変わり、紹介された本人が気にしてしまう場合があります。砕けた締め言葉を使うかどうかは、親族や上司の顔ぶれを見て、両家で相談して決めると安心です。
入籍後に式を挙げるなら、近況報告を兼ねる型
すでに婚姻届を提出してから式を迎える場合は、「実生活の近況報告を兼ねる型」が自然に使えます。ゲストにふたりの今の暮らしぶりを伝えられるのが特徴です。
ゼクシィの例文では、すでに婚姻届を提出していることを報告し、夫婦としての生活を送ってきた期間の近況を伝えています。「笑顔いっぱいの毎日」という言葉で日々の幸せを表現し、全体は正式な文体でまとめることで、ゲストに安心感と信頼感を持ってもらえる構成になっています。入籍から式までに期間があるカップルなら、「この日を迎えるまでの暮らしの中で気づいたこと」を本題に置くと、話題に困りません。
この型で気をつけたいのは、入籍後の生活の話が内輪の話題に寄りすぎないことです。日常の小さな出来事は、ゲストにとっては背景がわからず伝わりにくい場合があります。「ふたりで話し合って決めたこと」「支え合えたと感じた場面」のように、誰が聞いても共感しやすい切り口を選びましょう。
入籍日などの日付をカンペに書く場合は、数字を正確に書き写しておくことが大切です。新婦の呼び方も、入籍済みであれば「妻の〇〇」とするか名前だけにするか、事前にふたりで決めておくと本番で迷いません。

| 型 | 主な内容 | 向いている式 | カンペの工夫 |
|---|---|---|---|
| 感謝を簡潔に伝える型 | ゲスト全員と個人への感謝、ふたりの決意表明 | 少人数の会、短く済ませたい進行 | 原稿なしも可。不安なら要点を数行だけ |
| 相手別に伝え分ける型 | 上司・友人・親族・両親へそれぞれ異なる言葉 | 職場や親族のゲストが多い式 | 相手ごとに行を分け、名前は正確に |
| エピソード中心の型 | 家族の言葉の引用と、新婦を守るという誓い | アットホームな雰囲気の式 | 引用する言葉は一字一句書き写す |
| 近況報告を兼ねる型 | 婚姻届の提出報告と、ふたりの日々の様子 | 入籍後しばらくしてから挙げる式 | 日付と新婦の呼び方を事前に統一 |
顔を上げるタイミングは3つ|紙を見る場所・見ない場所
タイミング1:冒頭の挨拶は紙を見ずに言い切る
一つめのタイミングは、謝辞の冒頭です。「本日はご多用の中お集まりいただき、誠にありがとうございます」までは、カンペを見ずにゲストの方を向いて言い切りましょう。
ブライダル情報サイトの解説でも、挨拶部分はカンペを見ないこと、冒頭と終わりは見ずに話すことが勧められています。話し始めの数秒は、ゲストが「どんな挨拶になるのだろう」と新郎の顔に注目する瞬間です。ここで顔を上げてお礼を述べられると、そのあと本題でカンペに目を落としても、「準備してきた言葉を丁寧に伝えようとしている」と受け取ってもらいやすくなります。
よくあるのは、マイクの前に立った直後に紙を広げ、その流れで一行目から読み始めてしまうケースです。紙を開くことに意識が向き、ゲストを一度も見ないまま話が進んでしまいます。対策としては、マイクの前に立ったら紙は持ったまま一呼吸置き、会場全体を見渡してから第一声を出す、という手順を練習の段階から身につけておくことです。
冒頭の文章は、導入の30秒程度にあたる部分です。定番の表現で構わないので、ここだけは完全に覚えておきましょう。緊張しやすい方ほど、話し始めがうまくいくと気持ちが落ち着き、残りの時間を自分のペースで進められます。
タイミング2:本題は話の区切りごとに視線をゲストへ戻す
二つめのタイミングは、本題の途中です。本題ではカンペを見て構いませんが、箇条書きの一項目を話し終えるごとに、顔を上げてゲストに視線を向けましょう。
ブライダル情報サイトの解説では、ゲストや新郎新婦に「たびたび顔を上げて」目線を向けることが勧められています。本題は1分30秒程度と、謝辞の中で一番長いパートです。ずっと紙を見続けると、ゲストは話の内容よりも「うつむいている新郎」の姿を覚えてしまいます。区切りで顔を上げるだけで、同じ言葉でも伝わり方が変わります。
具体的には、「紙を見て次の項目を確認する→顔を上げて話す→話し終えたらまた紙を見る」というリズムで進めます。職場の皆さまへの言葉を話すときは上司の席の方へ、友人への言葉を話すときは友人の席の方へ、両親への感謝を話すときは両親の方へと、話す相手に合わせて視線を向ける先を変えると自然です。笑顔を意識すると、表情もやわらかくなります。
会場の配置によっては、両親の席が新郎の立ち位置から見えにくいこともあります。事前に会場の見取り図や当日の立ち位置を確認し、どの方向を向けばどのゲストが見えるかを把握しておくと、本番で視線が泳ぎません。
タイミング3:結びの一文は顔を上げたまま締める
三つめのタイミングは、結びです。「結びに」から始まる締めの一文と、「本日は誠にありがとうございました」は、顔を上げたまま言い切りましょう。
結びは謝辞の余韻を決める部分です。冒頭と同じく、終わりの部分はカンペを見ずに話すことが勧められています。お礼の言葉を述べたあとに一礼する流れになるので、紙に目を落としたまま締めくくると、顔を上げる機会がないまま謝辞が閉じてしまいます。
やりがちな失敗は、本題を話し終えてほっとした瞬間に、結びの言葉を探して紙を何度も見返してしまうことです。終盤は緊張がゆるみやすく、覚えていたはずの一文が出てこないこともあります。結びの一文は冒頭と同じく暗記したうえで、カンペにも大きめの字で書き、「最後の確認」として一度だけ見てから顔を上げる、という流れにしておくと安心です。
一礼のタイミングは、新婦と揃えるのか、新郎だけが行うのかなど、式によって段取りが異なります。打ち合わせで、謝辞のあとの動きまで確認しておきましょう。一礼の前にカンペを持つ手をどうするかも、練習で決めておくと慌てません。
本番中に、カンペのどこを話していたか見失ったら?
慌てて話し続けず、一呼吸置いて紙を確認しましょう。箇条書きのカンペなら、多少飛ばしても次の項目に進めば話はつながります。話し手が感じるほど、ゲストは間を長く感じていないことがほとんどです。
紙ではなくスマートフォンをカンペにしてもいい?
明確な決まりがあるわけではありませんが、謝辞のカンペとして一般に紹介されているのは便箋やカードです。画面の消灯や通知の心配もないため、迷ったら紙を選ぶと安心です。
謝辞の間、新婦や両親の顔を見て話すべき?
謝辞はゲスト全員へのお礼なので、視線は会場全体に向けるのが基本です。両親や新婦に触れる一文を話すときだけ、その方へ視線を向けると、ゲストにも誰への言葉かが伝わります。
緊張・涙・長引きを防ぐ練習と当日の備え
声に出して練習し、動画で早口と口ぐせを確認する
本番で落ち着いて話すための一番の近道は、声に出して練習することです。黙読だけで済ませず、カンペを持って本番と同じ姿勢で読み、スマートフォンで動画を撮って見返しましょう。
声に出す練習が効くのは、黙読では気づけないことが多いからです。頭の中で読むと、実際より速いペースで読み進めてしまい、時間の見積もりもずれます。動画で確認すると、自分では気づいていない早口や、「えー」「あのー」といったフィラー(つなぎの言葉)、紙を見ている時間の長さが一目でわかります。聞き取りやすいペースとされる1分間に300~350字程度を目安に、ゆったり話せているかを確かめてください。
よくあるのは、練習では座ったまま原稿を読み、本番で初めて立ってマイクを持ち、紙とマイクの扱いに気を取られてしまうケースです。練習では立って、片手に紙、もう片方の手にマイクの代わりになるものを持ち、顔を上げる3つのタイミングまで含めて通しで話してみましょう。
練習は、新婦や家族に聞いてもらうのも効果的です。忌み言葉の見落としや、新婦の呼び方のぶれに気づいてもらえます。ただし、身近な人の意見は好みも含まれるので、構成や長さの目安と照らし合わせながら取り入れるとよいでしょう。
泣いてしまったら、深呼吸して自分のペースで続ける
謝辞の途中で涙がこみ上げてきたら、無理に止めようとせず、深呼吸をして自分のペースで続ければ大丈夫です。途中で言葉が詰まっても、ゲストはその気持ちを温かく受け止めてくれるはずです。
マイナビウエディングの解説でも、泣いてしまった場合は深呼吸して自分のペースで続けることが勧められています。披露宴の終盤は、それまでの祝辞や演出を経て、新郎自身の気持ちも高まっている時間帯です。とくに両親への感謝を話す部分では、準備していた言葉が出にくくなる方も少なくありません。
ここでカンペが役立ちます。涙で言葉が止まったときは、一度紙に目を落とし、次の項目を確認してから顔を上げれば、途切れた話をつなぎ直せます。暗記だけに頼っていると、どこまで話したかわからなくなり、立て直しに時間がかかります。心配な方は、両親への感謝の部分だけ少し丁寧にカンペに書いておき、言葉が出なくなったら読んでもよい、と自分に許可を出しておくと気持ちが楽になります。
気持ちが高ぶりやすいと自覚している方は、両親への感謝を本題の終わりのほうに置くと、そこまでは落ち着いて話し進められます。ハンカチを内ポケットに入れておくなど、小さな備えも安心材料になります。
終盤のゲストを思えば、短めがちょうどいい
謝辞は、長く話すより簡潔に伝えるほうが喜ばれます。迷ったら、目安の2~3分の中でも短めを選んでください。
その理由は、謝辞を聞くゲストの状況にあります。謝辞は披露宴の締めくくりに行われるため、ゲストは長い時間を過ごしたあとで、疲れが出ている時間帯です。マイナビウエディングの解説でも、ゲストは披露宴の最後で疲れているため、簡潔さが重要だと紹介されています。伝えたいことが多いほど長くなりがちですが、ゲストの集中が続くうちに締めくくるほうが、感謝の言葉はまっすぐ届きます。
具体的には、本題に入れる話題を欲張らないことが大切です。当日の感想、ふたりの経験、抱負、各グループへの感謝をすべて盛り込もうとすると、1分30秒程度の本題には収まりません。練習で時間を計り、3分を超えるようなら、エピソードを一つ削る、グループへの言葉を一文ずつにする、といった調整をしましょう。
時間の感じ方は、式の進行状況によっても変わります。お開きの時間が押している場合には、司会者から短めにと声をかけられることもあります。そうした場面に備えて、カンペの本題の項目に「削ってよい」印をつけておくと、本番で柔軟に対応できます。
よくある状況:本題の途中で両親への感謝を話すうちに、子どもの頃の思い出まで話が広がり、予定より長くなってしまう。終盤で疲れの見えるゲストの集中が途切れ、肝心の結びの挨拶が慌ただしくなる。
原因:両親への感謝は気持ちがこもりやすく、カンペに書いた以上の言葉が出やすい。謝辞と「両親への手紙」の役割が混ざっている。
対策:謝辞で両親に触れるのは一文から二文にとどめ、じっくり伝えたい思いは手紙など別の場面に回す。カンペの両親への感謝の行には、話す文をそのまま書いておきましょう。
緊張しやすい人・話し慣れた人、タイプ別の準備の仕方
カンペの作り込み方は、人前で話すことへの慣れ具合によって変えるのが合理的です。自分のタイプに合った準備を選べば、無理なく本番を迎えられます。
人前で話すと頭が真っ白になりやすい方は、冒頭と結びの文を暗記し、本題は箇条書きに加えて、話す文の書き出しだけを書いておく形がおすすめです。練習の回数を多めに確保し、動画で顔を上げるタイミングを確認しましょう。気持ちが高ぶりやすい方は、両親への感謝の部分だけを丁寧に書いておくと、言葉が詰まったときの支えになります。
仕事でプレゼンや挨拶に慣れている方は、箇条書きのカンペを数行だけ用意し、感謝を簡潔に伝える型で話すのも一つの方法です。ただし、話し慣れている方ほど「最後に」「ますます」など、ビジネスの挨拶で使う言い回しが出やすいので、言葉選びの見直しは念入りに行いましょう。アドリブで話を広げすぎないことも大切です。
友人中心のカジュアルな式か、親族や上司が多いフォーマルな式かによっても、ふさわしい言葉づかいは変わります。どちらの場合も、原稿の方向性は新婦と相談し、親族の顔ぶれを踏まえて両家の親にも目を通してもらうと、当日の安心感が違います。
| 長さ・ペース | 2~3分程度・600~900字程度。1分間に300~350字程度のペースで読んで時間内に収まるか |
| 紙と書き方 | シワになりにくい便箋かカード、白地に黒文字。本題は箇条書き、名前・日付・結びの一文は正確に |
| 言葉選び | 忌み言葉・重ね言葉がないか、「結びに」で締めているか、新婦を名前で呼んでいるか |
| 持ち方・目線 | 片手で堂々と持つ。冒頭・本題の区切り・結びの3つのタイミングで顔を上げる。予備を1枚用意 |
まとめ
まずは今日、導入・本題・結びの3つの見出しだけを紙に書き、それぞれに話したいことを一行ずつ埋めてみてください。それを声に出して読んでみれば、自分に合ったカンペの量が見えてきます。完璧な暗記を目指すより、ゲストの顔を見て「ありがとうございました」と伝えることを大切にすれば、きっと心に残る謝辞になります。
※謝辞の進行や持ち時間、言葉づかいの考え方は式場や地域・家によって異なる場合があるため、プランナーや両家で確認してください。
コメント